초혼 招魂 15

紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景: 招魂 第15回 

詩子アナ:なかなか手ごわいキーワードですね。「떨어져 나가 앉은」という表現は他の詩でも使われているのですか。

歌樽先生:使われていますよ。「나의 집(俺の家)」という題の詩があるのですが、この詩は「들가에 떨어져 나가 앉은 메 기슭의(野辺に座したる山裾の)」という文で始まっています。

詩子アナ:「鹿の群れが悲しく啼く」とありますが、鹿の鳴き声は悲しいんですか。

歌樽先生:悲しいですね。鹿の群れが一斉にあちこちで啼き始めると、平常心では聞いていられないくらいです。

詩子アナ:えっ!私、奈良公園で鹿の啼くのを聞いたことがありますが、そんなにすごいものとは思いませんでしたが。4択でどんな声か問題を出してもらえると助かるのですが。

歌樽先生:難しい問題を出されてしまいましたね。では、なんとかやってみましょう。

詩子アナ:それでこそ、独断と偏見の歌樽先生の独壇場です!!

歌樽先生:独壇場ではなくて、何でしたっけ?

詩子アナ:独壇場ではなくて、ええと、「独擅場(どくせんじょう)」です。

歌樽先生:以前、「オンマヤ、ヌナヤ」の第7回でやりましたね。

第30問:鹿が啼く声とはどんな音でしょうか、次のなかから近いものを選びましょう。

1)ガー   2)ギー  3)グー  4)ゴー

詩子アナ:聞こえ方は人によって違うかもしれませんから、当てずっぽうでやります。

歌樽先生:当てずっぽうでいいですよ。鹿にも個性がありますし、歳によっても違いますから。

何でも正解にしますから、気軽に答えてください。

詩子アナ:鹿の鳴き声を調べてみます。

https://www.youtube.com/watch?v=Qcu_X5slYRI

歌樽先生:で、決まりましたか?

詩子アナ:はい。決めました。形容し難い鳴き声ですね。

第30問:2)ギー。

ともかく悲しい啼き声というのは分かりました。この鹿の声と、屋根の上にいながらにして、同時に西山の上で死者の名を呼ぶことが出来る状況は関係があるのですか。

歌樽先生:では、それを考えてみましょう。

第31問:「皐復(고복)儀式」をしている人の左耳はどちらを向いていますか。

1)東   2)西   3)南   4)北

詩子アナ:北を向いて名前を呼んでいるわけですから、左耳は・・・

第31問:2)西、です。

歌樽先生:では、次です。

第32問:「皐復(고복)儀式」をしている人の左手はどこにありますか。

1)東   2)西   3)南   4)北

詩子アナ:これも北を向いて名前を呼んでいるわけですから、左手は・・・

第32問:2)西、です。

歌樽先生:では、足についてみておきましょう。

第33問:「皐復(고복)儀式」をしている人の左足はどこにありますか。

1)東   2)西   3)南   4)北

詩子アナ:左足ですか、それはもちろん・・・

第33問:2)西、です。

なるほど、西が「素月マジック」の秘密なんですね。

歌樽先生:やっと気がつきましたね。

詩子アナ:西山の太陽は、時間の経過と現在の時刻を示すだけでなく、鹿を登場させて、死を悼みつつ、稜線を働かせたという訳ですか、なるほど。屋根の上にいながらにして、同時に西山の上で死者の名を呼ぶことが出来る状況のマジック、解けました!!

歌樽先生:では、「떨어져 나가 앉은 산 위에서」を説明してみましょう。

詩子アナ:はい。やっと詩の核心部分に触れることができた気がします。

歌樽先生:なかなかすばらしい洞察力ですね。

詩子アナ:でも、これで違っていたら目も当てられませんから、もう一度整理してみます。

歌樽先生:はい、ではそうしましょう。

초혼 招魂 14

紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景: 招魂 第14回 

詩子アナ:どこにでもあって、ないものを捜せばいいようですね。

第28問:正解は1)空、です。

歌樽先生:なかなかすばらしいですね。

詩子アナ:いえいえ、とんでもありません。褒められた後が恐いですから。

歌樽先生:では、3連に移りましょう。

詩子アナ:はい、いよいよ第3連です。読んでみます。

붉은 해는 서산 마루에 걸리었다.
사슴의 무리도 슬피 운다.
떨어져 나가 앉은 산 위에서
나는 그대의 이름을 부르노라.

今回の詩のキーワード、「떨어져 나가 앉은 산 위에서」がこの3連に入っていますが。

歌樽先生:そうですね。まず、第3連の1行目の「붉은 해는 서산 마루에 걸리었다」の「서산(西の山)」ですが、他の言葉といろいろ関わりあっています。そこで

第29問:第3連で「서산(西の山)」との関わりをもつ言葉の関連図を描いてみましょう。

詩子アナ:関連図ですか?関連図というと相関図のようなものですか。

歌樽先生:相関図が描ければいいですね。

詩子アナ:「서산(西の山)」とのかかわりで関連図を描くということは、「서산(西の山)」という言葉がキーワードになってもいいくらいですね。直訳すると「붉은 해는:赤い太陽は」、「서산 마루에:西の山の背に」、「걸리었다:かかった」となりますが、、、

歌樽先生:では、気のついたものから一つずつ記してみましょう。

詩子アナ:「서산(西の山)」ですから、まず、西に山を中心に書き入れてみます。

第29問:下の図のように関連図を書いてみました。 

사슴의 무리(鹿の群)  ― 슬피(悲しく) ― 운다(啼く)
↑
붉은 해(赤い太陽)  ― 서산(西の山) – 마루(山の背) ― 걸리었다(かかった)

떨어져 나가 앉은 (離れ出て座った) 산 위에서(山の上で)
↓
나는(私は) 그대의(あなたの)
이름을(名前を) 부르노라(呼ぶのだ) 

歌樽先生:「떨어져 나가 앉은 산 위에서」と西山との関係はどうなっていますか。

詩子アナ:よく分かりません。あー、それでこれが今回の詩のキーワードになっている訳ですね。

歌樽先生:「西山」と「떨어져 나가 앉은 산」を線で結んでみましょう。

詩子アナ:「西山」が「떨어져 나가 앉은 산」なんですか?なるほど、そのように考えてみると、第3連の全てが「西山」と繋がりますね。でも、「離れ出て座った山」がどうして「西山」になるのですか。

第6問で「名前をどこで呼ぶのでしょうか。」の答は「3)屋根の上」でしたから、「離れ出て座った山」の「西山」の上で名前を呼ぶことはできないと思うのですが。

歌樽先生:屋根の上にいながらにして、同時に西山の上で死者の名を呼ぶことが出来る状況を考えてみましょう。

詩子アナ:そんな忍者のようなことができるんですか。

歌樽先生:それが出来るのが、「素月マジック」ですね。

詩子アナ:素月はマジシャンでもあるのですか。

歌樽先生:マジシャンといえばマジシャンですね。普通の人がなかなか出来ないことをなんでもないようにやってのけるのですから。

초혼 招魂 13

紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景: 招魂 第13回 

歌樽先生:分かったようですね。

詩子アナ:分かりました。完璧です。

第26問:正解は、1)이름(名前)、です。

歌樽先生:理由は?

詩子アナ:第1連では「名前」を、第2連では自分との関係を詠っていて、「이름:名前」とは「愛していた人」で、同じ人のことを言っているからです。

歌樽先生:「ちぢに砕けしナ・マ・エ!」と訳した意味がここで出てきましたね。ここで第2連の粗訳をしておきましょう。

詩子アナ:はい。

심중에 남아 있는 말 한 마디는  心にしまいし言葉は
끝끝내 마저 하지 못하였구나.   最後まで言えぬまま
사랑하던 그 사람이여!           愛しき君よ!
사랑하던 그 사람이여!           愛しき君よ!

歌樽先生:ほかの訳も考えてみましたか。

詩子アナ:創作もあるのですが、、、

心に秘めし一言は
最後まで我胸の中。
愛し愛しや君恋し!
愛し愛しや君恋し!

歌樽先生:こういう風にいろいろと考えてみることが大切ですね。

詩子アナ:ということは、なかなかいい線をいっていると考えていいんでしょうか?

歌樽先生:いい線かどうかは全体を見ないとなんともいえませんね。実は石川啄木が同じような心情を詠っていますね。

第27問:啄木は言えなかった言葉を「何の言葉」と言っているでしょうか。

1)愛の言葉     2)告白の言葉  3)大切の言葉  4)大事な言葉

詩子アナ:「考えてみることが大切」とのことですが、ここは文明の利器を利用して、すぐ捜してみます。

歌樽先生:そんなにすぐ捜せるのですか。

詩子アナ:ええ、まあ、かなり早いほうです。ええと、ありました。

http://www.asahi.com/travel/traveler/TKY200707060273.html

かの時に言ひそびれたる 大切の言葉は今も 胸にのこれど 

第27問:正解は、3)大切の言葉、です。

歌樽先生:なかなかジーンとくる歌ですね。『一握の砂』の「忘れがたき人人」の歌ですね。ここでは「大切の言葉」と抑えた表現になっていますね。愛というものはこうでなくてはいけません。

詩子アナ:さきほど「大切」というヒントをくださっていたんですね。「あなたが私にとってとても大切な人です」とか「好意を持っています」とか言う機会がなかったわけではないのに、そういう言葉は言えなかったんですね。

歌樽先生:ストレートにはなかなか言えない時代でしたからね。

詩子アナ:啄木が「かの時に言ひそびれたる」と言っている相手の人は「智恵子」さんなんですか。

歌樽先生:「橘智恵子」さんですね。

詩子アナ:智恵子さんって、ほかの智恵子さんもいましたよね。

歌樽先生:高村光太郎の『智恵子抄』がありますね。詩子アナもいろいろと知っていることが多いですね。感心しました。『智恵子抄』で、何か心に残っている言葉がありますか?

詩子アナ:いえ、急にいわれても・・・

歌樽先生:では、軽い気持ちでやってみましょう。

第28問:『智恵子抄』のなかで、智恵子は東京に何がないといっていますか。

1)空     2)山    3)川    4)湖

詩子アナ:ええと、これは読んだことがあります。

초혼 招魂 12

紙上中継[LIVE]  ハングルの詩のある風景: 招魂 第12回

詩子アナ:「ヤー・シンカー」ですか、変化球は得意ではありません。

歌樽先生:これは失礼しました。では、1連目をつなげてみましょう。

詩子アナ:はい、つなげてみます。

산산이 부서진 이름이여! 粉々に砕けた名前よ
허공중에 헤어진 이름이여! 虚空にバラバラになった名前よ
불러도 주인 없는 이름이여! 呼んでも主人なき名前よ
부르다가 내가 죽을 이름이여! 死ぬまで私が呼ぶ名前よ

歌樽先生:では、訳に少し手をいれてみてください。

詩子アナ:どんな感じでやればいいんでしょうか。

歌樽先生:2連、3連以降もありますから、気楽に訳してみましょう。

詩子アナ:まずは思うままにやってみます。

離れ離れの姓と名よ!
虚空に散けた姓と名よ!
呼べど主のいない名よ!
果てるまで我叫ぶ名よ!

歌樽先生:姓と名が二つに分離した感じを受けますね。ほかのものも考えてみましたか。

詩子アナ:こんな感じですが。

ちぢに砕けしナ・マ・エ!
虚空に散りしナ・マ・エ!
呼べど応えぬナ・マ・エ!
果てるまで呼ぶナ・マ・エ!

歌樽先生:これはなかなかの変化球のようですね。なにか応援団の掛け声のような気もしますが。色々試みたということで、第2連に移りましょう。

詩子アナ:はい、ストレートに読んでみます。

심중에 남아 있는 말 한 마디는
끝끝내 마저 하지 못하였구나.
사랑하던 그 사람이여!
사랑하던 그 사람이여!

歌樽先生:第2連の1行目の粗訳を考えてみましょう。

第25問:「심중에 남아 있는 말 한 마디는」の訳としてよいものはどれでしょうか。
1)心に残る一言は 2)心に残った一言は
3)心に秘める一言は 4)心に秘めた一言は

詩子アナ:あの、「심중」というのは「心の中」のことですか?

歌樽先生:「心の中」というより、「心の奥」といったほうが近いでしょうね。

詩子アナ:続きをみてみないと訳が決まりませんが。

歌樽先生:なるほど、それはそうですね。では続きを見てみましょう。

詩子アナ:はい。「끝끝내 마저 하지 못하였구나.」ですから、「しまいまで残らず言うことは出来なかったよ」という内容です。

第25問:正解は、4)心に秘めた一言は、です。

歌樽先生:そうですね、「心に残る一言」とか「心に残った一言」というのは人から言われたり、教わったり、感銘を受けたりした言葉の場合ですから、ここで言っている内容とは違いますね。では、続きをみてみましょう。

詩子アナ:「사랑하던 그 사람이여!」が繰り返されています。

歌樽先生:これはどんな意味ですか。

詩子アナ:「愛していたその人よ!」ですか?

歌樽先生:直訳するとそうなりますが、「その人」とか「あの人」は詩の日本語の訳語としては疑問が残りますね。では関連した問題を出しましょう。

第26問:この「그 사람」と最も関連のある言葉は次の内どれでしょうか。
1)이름 2)허공 3)심중 4)말

詩子アナ:「사랑:愛」は選択肢にないのですか。

歌樽先生: 皐復(고복)儀式であることを思い出しましょう。

詩子アナ:ああ、なるほど。そういうことですか。

초혼 招魂 11

紙上中継[LIVE]:ハングルの詩のある風景「招魂」第11回

歌樽先生:直観ではなく、直感のようですね。

詩子アナ:皐復(고복)儀式で、姓名を呼びますが、姓は分かっているのでこれを省略して、下の2文字の名前だけ呼んでもいいんじゃないかと思うのですが。

歌樽先生:名前も重要ですが、姓はもっと重要です。同じ本貫同士はつい最近まで結婚できませんでしたし。

詩子アナ:えっ!結婚できないんですか。

歌樽先生:「同姓不婚」という言葉があって、特に「同姓同本」、つまり同じ姓で同じ本貫の場合は長らく法律で婚姻が禁じられていました。

詩子アナ:法律で禁止ですか。わー、これは大変だー。びっくりポンですね。同じ姓で同じ「本貫(본관)」の人同士が好きになることはないんですか。

歌樽先生:それはありますよ。そうなれば問題は深刻ですね。

詩子アナ:一番数の多い金海金氏同士が知り合う確立は高いでしょうし。

歌樽先生:結婚しても出生届けがだせないままで、子供が大きくなって小学校への入学案内が届かなかったという例もありますよ。こうなるともう大変なんです。罰金も科せられますし。
では、3行目と4行目に移りましょう。

詩子アナ:はい、読んでみます。
3行目:불러도 주인 없는 이름이여!
4行目:부르다가 내가 죽을 이름이여!

歌樽先生:よく読めました。
第23問:3行目を直訳してみましょう。

詩子アナ:直訳でいいんですか。では、直訳で、失礼します。
第23問:呼んでも主人なき名前よ!

歌樽先生:これはどういうことを言っていますか。

詩子アナ:死者には名前はあるのですが、名前の方から見ると生きている者としての名前はなくなっていて、名を呼んでも答えてくれる者がいないことをいっています。

歌樽先生:では、4行目を見てみましょう。

第24問:「부르다가 내가 죽을 이름이여!」の直訳として最も適当なものはどれでしょうか。
1)呼べば私が死ぬ名前よ! 2)呼んでからわたしが死ぬ名前よ!
3)死ぬまで私が呼ぶ名前よ! 4)呼べば私も死ぬであろう名前よ!

詩子アナ:直訳ですから、文の意味の訳でいいんですよね。

歌樽先生:はい、詩訳のほうは直訳をまずしたあとでゆっくり考えることにしましょう。

詩子アナ:1)の「呼べば私が死ぬ名前よ!」であれば、皐復(고복)儀式は名前を呼ぶ訳ですから、死者の名を呼べば私が死ぬのでは、皐復儀式ができなくなるように思います。2)は死者の名を呼んだ後で自分が死ぬことになるか、死を選ぶようなニュアンスが感じられます。4)は「であろう」が推量になっていますが、1)とよく似ています。1)、2)、4)は皐復(고복)儀式との関連がよく理解できませんが。

歌樽先生:なるほど、それで?

詩子アナ:「부르다가」の「-다가」はどういう意味なんですか。

歌樽先生:「-다가」の基本は「途中で」という意味ですね。途中ということは「終わりまで行かないうちに」、「終わりまでしないうちに」「十分できないうちに」という意味にもなります。

詩子アナ:分かりました。
第24問:正解は、3)死ぬまで私が呼ぶ名前よ!、です。

歌樽先生:消去法ですか?

詩子アナ:いえ、今回は非消去法です。「-다가」が「十分できないうちに」という意味ですから、死者の名を呼んでも呼んでもまだ呼び足りなくて、呼んで、呼んで、また呼んでということを繰り返している間に、つまり呼んでいる途中で自分が果ててしまうという風に考えれば3)の「死ぬまで私が呼ぶ名前よ!」が最もよく分かります。

歌樽先生:進化しましたね。

詩子アナ:ヤッター!詩子、大進化!という見出しでも書きたいくらいです。

歌樽先生:どこに書くのですか?

詩子アナ:将来有名になったときのために、日記に書いておきます。

歌樽先生:野心家ですね。

초혼 招魂 10

紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景 : 招魂 第10回

詩子アナ:「산산이 부서진 이름이여! (粉々に砕けた名前よ!)」というのは名前の3文字がバラバラになることを言っているんですか。

歌樽先生:そうですね。ゆっくり名を呼ぶので、3文字の名前の人であれば、姓、行列字、固有の名の三つが離れ離れになりますね。
詩子アナ:三つが離れ離れであれば、三つにしか分かれていない訳ですから、これで「산산이 부서진 ~(粉々に砕けた~)」と言っていいんですか?

歌樽先生:なるほど、するどい指摘ですね。

詩子アナ:ヤッター!するどいという言葉を久しぶりにいただきました!

歌樽先生:初めは三つに分かれていますが、こちらの世界に帰ってくることが出来なくなると、存在自体がこの世にはなくなる訳ですから、3つに別れたはずの3文字の名の一つ一つが、もう本来の役割を果たさなくなっているために、さらに粉々になって壊れてしまうことになるのです。それはこの世との関係が崩れてしまっていることでもあります。

詩子アナ:名前が砕けるというのは、人と人との関係、この世との関係がなくなったことを示しているんですね、なるほど。

歌樽先生:その名前を呼んだ次はどうするんでしたか。

詩子アナ:以前、第7問でやりました。名前を3度呼んだあと、「복 복 복」と「복(復)」を3度言います。

歌樽先生:第5問で見ましたが、北を向いて言いますね。この儀式は亡くなった人の着ていた服を手にもって行われます。
http://dacheon.net/mounrning2.htm

詩子アナ:この「복(復)」というのが「招魂」、つまり「魂よ、帰って来い」という意味なんですね。

歌樽先生:その通りです。こちらの世界に戻って来られないことが。2行目に書かれています。

詩子アナ:2行目は「허공중에 헤어진 이름이여!」です。

歌樽先生:まず、この「허공(虚空)」についてみておきましょう。

第21問:「허공(虚空)」とはどんな意味でしょうか。
1)虚な空間 2)あの世 3)この世 4)あの世とこの世の間

詩子アナ:辞書には「何もない空間、何でも包容する空間」のことのようですが。

歌樽先生:現実世界と対峙する空間と考えていいでしょう。

詩子アナ:あの世とも少し違うようですので、、、

第21問:正解は、4)あの世とこの世の間、です。

歌樽先生:そうですね、あの世に行ってしまっていれば、もう呼び戻すことはできませんから、あの世までには距離があるようですね。そうかと言って、この世の方に近いかというと決してそういう訳ではありません。こういう状況を受け止める時空を「虚空」と呼んでいるようですね。1行目と2行目を並べてみましょう。

詩子アナ:はい。
산산이 부서진 이름이여!
허공중에 헤어진 이름이여!

歌樽先生:2行目の「헤어진 이름」について考えてみましょう。

第22問:「헤어지다」とはどんな意味で使われていますか
1)別れる 2)皮膚が荒れる 3)情を絶つ 4)バラバラになる

詩子アナ:分かりました。

第22問:正解は、4)バラバラになる、です。

歌樽先生:これはこれは、さすがですね。理由は?

詩子アナ:「虚空に」という言葉が前にありますから。

歌樽先生:それで?

詩子アナ:あの世に行ってしまえば「別れる」という意味で使えるかも知れませんが、まだあの世へ行ってしまった訳ではなく、この世に帰って来いと言ってところなので1)を選択肢からはずしました。2)は詩の内容とは無関係です。また、皐復(고복)儀式中ですから、名前を呼んでいるところなので、情を絶つことはないように思います。

歌樽先生:なるほど、理詰めできましたね。1)もいいように思いますが、、、

詩子アナ:「1行目と2行目を並べてみましょう」とおっしゃったところで、わかりました。一行目と2行目は同じ事を表現していると直感しました。

초혼 招魂 09

紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景: 초혼 招魂 第9回

詩子アナ:はい、やってみます。金素月の場合を復習してみます。

公 州 金 氏         行列字 (五行)    素月の直系

17世・金  基  河 (김기하)   河 (水)    素月の曽祖父
↙
18世.   金  相  疇  (김상주)    相 (木)    素月の祖父
↘
19世・金  性  燾 (김성도)    燾 (火)    素月の父
↙
20世・金  珽  湜 (김정식)   珽 (土)    金素月
↘
21世・金  俊  鎬 (김준호)   鎬 (金)    素月の長男

名前の構成をみると金素月の場合、本名は金珽湜(김정식)で、

金:公州金氏(本貫は公州)
珽:行列字(同じ世代の者、全てが持つべき文字)
珽は玉偏があり、五行は「土」。後に「廷」とする
湜:素月の名としての固有の文字

歌樽先生:これで名前の構成の基本が分かりましたね。

詩子アナ:はい。名前の基本構成は分かりましたが、韓国には姓の数はどの位あるのですか。

歌樽先生:では、2000年の国勢調査を調べてみましょう。

http://kostat.go.kr/portal/korea/kor_nw/2/2/1/index.board?bmode=read&bSeq=&aSeq=46672&pageNo=1&rowNum=10&navCount=10&currPg=&sTarget=title&sTxt=%EB%B3%B8%EA%B4%80

人口数 성씨수 %
1千未満 112 39.2
1千-1万 67 23.4
1-5万 41 14.3
5-10万 12 4.2
10-20万 20 7.0
20-30万 5 1.7
30-40万 5 1.7
40-50万 4 1.4
50-100万 14 4.9
100万以上 6 2.1
総計 286 100.0
人口数 본관수 %
1千未満 2,778 66.5
1千-1万 1,038 24.8
1-5万 222 5.3
5-10万 59 1.4
10-20万 42 1.0
20-30万 13 0.3
30-40万 8 0.2
40-50万 6 0.1
50-100万 8 0.2
100万以上 5 0.1
総計 4,179 100.0

第19問:韓国の姓の種類は2000年の調査によるとどのくらいあるでしょうか。

詩子アナ:どこの数字を見ればいいのでしょうか、ええと、ありました。

第19問:성씨수(姓氏数)、286です。

歌樽先生:調査のたびに増えているようですね。1985年の調査では275でした。2015年の国政調査の結果はまだ出ていませんが、数は増えるでしょう。

第20問:本貫の数はどのくらいでしょうか。

詩子アナ:本貫数、ありました。

第20問:본관수(本貫数)、4179です。

歌樽先生:本貫数も1985年には3349ですから、かなり増えていますね。

詩子アナ:国勢調査で姓の数や本貫の数、またそれぞれの人口規模を調査対象にしているとは知りませんでした。姓や名前に関する認識が日本とは全く違いますね。

歌樽先生:それが分かったところで、詩の方に戻りましょう。

초혼 招魂 08

紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景: 초혼 招魂 第8回

詩子アナ:分かりやすくするために、分かるものからチェックしていきます。

歌樽先生:いい方法ですね。

詩子アナ:
塾  憲  虎  春  梧
↓    ↓    ↓    ↓    ↓
九  四  七  三  五

歌樽先生:コツを掴んできたようですね。

詩子アナ:ここまでは合っているんですか。

歌樽先生:ここまでは完璧ですよ。

詩子アナ:「雨 天 平 容 奇」の中に一、二、六、八、十があるんですね。

歌樽先生:そうなりますね。

詩子アナ:一は横棒一本なので全部にあるようですし、二は天と平、六は天と容と奇、八は平と容といくつかの可能性があるようなんですが。

歌樽先生:そこを一気に決めてもらえればいいですね。

詩子アナ:一気にですか。

歌樽先生:雨と平はどちらかが一でどちらかが十です。

詩子アナ:ヒントをもらってスッキリしました。

第18問:答が出ました。

雨・天・春・憲・梧・奇・虎・容・塾・平
一・二・三・四・五・六・七・八・九・十

歌樽先生:完璧です。このほかに、丙・宗・泰・寧・吾・赫・純・謙・旭・協などの文字も使われています。

詩子アナ:六の赫と七の純と八の謙がよくわかりませんが。

歌樽先生:六の赫(혁:かく)は赤いという字の2・3・4・5画目が六の書き方と同じなので、六に見立てているんです。七の純ですが、屯の中に七に当たる字画があるので、これを七に当たる文字として使っているのです。謙は右の兼の字の上の2画のカタカナのソに似た部分を八のように下を広げて書く書き方があって、そこを八と見立てているのです。このように字画の中にそれとなく入っているものがいくつもあります。そうすることで使える文字バリエーションを増やしているんです。

詩子アナ:名付け法はずいぶん複雑なんですね。驚きました。

歌樽先生:五常を使ったものもありますよ。

詩子アナ:五常とはなんですか。

歌樽先生:儒教で守るべきとされる「仁・義・禮・智・信」です。最近はあまり見かけなくなりましたが、この順に名付ける場合もありました。

詩子アナ:金素月はこういう名付け法によって「김정식(金珽湜)」と名付けられた訳なんですね。

歌樽先生:金素月だけではなくて、現在も純ハングルの名前以外はこうした名付け法によって名前が付けられているんです。最ももとは儒教思想に基づくものなので、男性の場合が多いですが、女性の場合にも行列字を用いている人もいますよ。

詩子アナ:名付けの基本はこれでほぼ尽くされているんですか。

歌樽先生:これにさらに画数や発音などが複雑に関係してくるので、名付けのための専門家があちこちにいます。

詩子アナ:発音というのは音ですよね。

歌樽先生:そうです。五行の音のことです。

詩子アナ:「招魂」で「이름이여!:名前よ!」と呼んでいるのは、単なる名前ではないんですね。

歌樽先生:そういうことですが、これで第3問の「名前が砕ける理由」が分かりましたか。第3問をもう一度見ておきましょう。

第3問(再):名前が砕ける理由は何に起因していますか。

1)名前がなくなったため
2)死者の名前の呼び方のため

3)死を象徴的に示すため
4)死者の魂が壊れているため

詩子アナ:第3問は「2)死者の名前の呼び方のため」でしたよね。ああ、名前の構成が名前の呼び方に関わっていて、このために名前が「砕ける」ということですね。やっとこれまでの流れが分かりました。

歌樽先生:流れが分かったところで、素月家の名前の構成をここで整理しておきましょう。

초혼 招魂 07

紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景 : 초혼 招魂 第7回

詩子アナ:どんなバリエーションがあるのですか。

歌樽先生:健康の康の字の最後の4画は求めるの字の最後の4画と同じですが、この4画は水と形が似ているので「水」が入った文字と見て使っています。また、4画の「斗:두」は「心:심」と同じく、「火」に属するものと見ます。「善:선」の初めの1・2画は「八」のように書く書き方があって、こう書くと「金」の字が字画に含まれるので、五行では「金」と見ます。ではここで一つ問題を出しましょう。

第16問:「容」は五行でどれに属するでしょうか。

1)木   2)火   3)土   4)金

詩子アナ:木と土ではないようですから、火か金でしょう。金に当たる部分がありませんので、これは分かりました。

第16問:正解は、2)火、です。

歌樽先生:容易だったようですね。

詩子アナ:お陰様で、できました。兼用の文字はないんですか。

歌樽先生:兼用というと2つ以上のものに使われる文字ですか。ありますよ。「東」という文字は「木」にも「甲」にも使われます。

詩子アナ:「甲」ですか?「甲」ってありましたっけ。

歌樽先生 :じつは甲乙順の名付け法があるんですが、

詩子アナ:えっ!五行だけではないんですか。

歌樽先生:ええ、いろいろあるんです。その前に、甲乙順を言ってみてください。

詩子アナ:甲乙丙丁、以上です!

歌樽先生:全部で10あるんですが、難しいようですね。

コウ   オツ    ヘイ   テイ   ボ   キ   コウ   シン   ジン    キ
甲   乙    丙   丁  戊   己  庚   辛    壬    癸

詩子アナ:五行じゃなくて十行ですか?

歌樽先生:十行ではなくて十干(じっかん)を使ったもので「天干法(천간법)」と呼んでいます。

詩子アナ:五行の順に名付けるやりかたは何と呼ばれているのですか。

歌樽先生:「五行相生法(오행상생법:ごぎょうそうしょうほう)」と呼んでいます。

詩子アナ:「天干法」で使われる漢字を教えてください。

歌樽先生:例えば、「甲:愚、乙:凡、丙:炳、丁:宇、戊:茂、己:起、庚:康、辛:宰、壬:廷、癸:揆」といった漢字が使われます。

詩子アナ:では10代にわたってこれらの漢字がつかわれる訳ですか。

歌樽先生:そういうことですね。

詩子アナ:詩子の文字で使えるものがありますか。

歌樽先生:「子」が字画に含まれる漢字であれば使えますよ。十二支の順で行列字を使用する場合がありますから。

第17問:十二支を言ってみてください。

詩子アナ:十二支ですか。

第17問:子(ね)・丑(うし)・寅(とら)・卯(う)・辰(たつ)・巳(み)・午(うま)・未(ひつじ)・申(さる)・酉(とり)・戌(いぬ)・亥(い)

歌樽先生:さすがですね。

詩子アナ:ひさしぶりに言ってみたら、あら不思議、言えました!

歌樽先生:漢字のどこかに十二支の入った漢字を干支の順に入れて名付ける方法を「地支法(지지법)」と呼んでいます。子の場合なら、學(학:学)・孝(효)・厚(후)などが使われています。

詩子アナ:本当にいろいろあるんですね。驚きました。初めに「이름이여!」と叫んでいるのはこんな名づけ法とも関連がありそうですね。

歌樽先生:数字を使ったものもあります。「数交法(수교법)」といっています。一から十までの数字を利用したものです。この「数交法(수교법)」に使われる文字の例を挙げてみましょう。

詩子アナ:えっ!ノーヒントですか?

歌樽先生:では、ヒントを出しましょう。

第18問:次の漢字を数交法の1から10の順に並べ替えましょう。

塾 憲 虎 雨 天 春 平 容 梧 奇

초혼 招魂 06

紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景: 초혼 招魂 第6回

 歌樽先生:この一連の名前を見て、何か気が付きませんか。

詩子アナ:何か特徴があるのですか。

歌樽先生:そうですね。特徴がありますね。

詩子アナ:では、もう一度名前を書いてみます。

17世・・ 金基河(김기하)
↙
18世・・ 金相疇(김상주)
↘
19世・・ 金性燾(김성도)
↙
20世・・ 金珽湜(김정식)
↘
21世・・ 金俊鎬(김준호)

歌樽先生:行列字だけを書き抜くと分かりやすいですよ。

詩子アナ:河(하)→相(상)→燾(도)→珽(정)→鎬(호)ですね。

歌樽先生:恋愛は「もっ・か、ドッ・キン・スイスイスイ」って覚えたのは何でしたっけ?

詩子アナ:恋愛ですか。恋愛の専門家ではないのですが。どちらかというと失恋の専門家なのですが。

歌樽先生:「オンマヤ ヌナヤ」のところでやりましたが。確かそのときは、

「覚えるのは早いんです。覚えるのに時間を使わないというのが信条です」と言っていたと記憶していますが。

詩子アナ:覚えるのは早いのですが、忘れるのも早い場合もあるんです。ヒントは?

歌樽先生:ヒントですか。春の七草でしょうかね。

詩子アナ:あっ!「ゴギョウ」、五行です。五行の順番です。

歌樽先生:思い出したようですね。

詩子アナ:「もっ・か、ドッ・キン・スイスイスイ」なので「木・火・土・金・水」の順ですね。

歌樽先生:漢字の部首や字画の一部に「木・火・土・金・水」が取り入れられています。

詩子アナ:なるほど。河には三水偏、これは部首では水と同じです。相には木偏、鎬には金偏がありますね。

歌樽先生:では「燾(도)」と「珽(정)」にはどこに何があるのでしょうか。

詩子アナ:順番から言えば、「燾(도)」は木偏の次なので火偏、「珽(정)」は火偏の次なので土偏が来るわけですが、火偏も土偏もよく分かりませんね。

歌樽先生:ではまず「燾(도)」の構成要素を見てみましょう。

第14問:「燾(도)」のどこに「火」の要素があるでしょうか。

1)一番上の「士」  
2)真ん中の「エ」
3)下の「寸」
4)一番下の「灬」

詩子アナ:どこにも「火」らしきものは見つかりませんが。

歌樽先生:漢字の辞典を調べれば分かりますよ。

詩子アナ:では、しばらくのお時間をいただいて、、、ええと、「火」の部首の下に「灬」がありますが、これですか。「水」の下にも「氵」がありますね。ということは、、、

第14問:4)一番下の「灬」ですね。

歌樽先生:正解です。下の点の4つのものは火偏と同じです。実は「心」や立心偏(忄)も五行の感じとしては火偏と同じ扱いです。

第15問:「珽(정)」のどこに「土」の要素があるでしょうか。

1)一番左の「玉」  2)真ん中の「廴」  3)右の「壬」   4)なし

詩子アナ:「玉」にも「壬」にも良く見ると字画の中に「土」が入っていますね。

歌樽先生:よく気が付きましたね。

詩子アナ:気が付いたのですが、どっちでしょうかね。両方なんですかね。

歌樽先生:自分で決めましょう。

詩子アナ:廷だけでも「土」があるのに、「玉」をつけているということは・・・

第15問:1)一番左の「玉」、です。

歌樽先生:そうですね。王偏の「玉」の中に「土」が含まれていますから、こういう場合は五行でいえば「土」に属するものと考える訳です。バリエーションがいろいろありますから、面白いですよ。