紙上中継「ハングルの詩のある風景」素月と無主空山 第15回

歌樽先生:当時南浦港と航路の開かれていたのは日本の長崎と中国の大連でしたから、「南は門司、香港、北は大連、天津」の中だとすると、大連のようですね。

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詩子アナ:あちらこちらと、ずいぶんいろんな所を回ってきましたね。素月もチェランの境遇を哀れに思っていたようですから、自分の境遇と比べてみることもあったでしょうね。

歌樽先生:そうですね。では、「팔베개 노래조(手枕の歌の調べ)」の初めの部分をみてみましょう。

첫날에 길동무

만나기 쉬운가

가다가 만나서

길동무 되지요.

(『正本素月全集下』金鍾旭(김종욱)2005 圖書出版명상 pp142-144)

詩子アナ:3音‐3音でリズムの良い歌ですね。会ってすぐには言葉を掛けにくくても、何度か出会えば自然と旅友になれるといった内容ですね。

歌樽先生:では、訳詩してみましょう。

詩子アナ: 七・七調でやってみます。

旅の初日は

声掛け難く

行く道々で

会えば旅友

歌樽先生:出会わなければ何も起こりませんから。実は、ここまではあまり問題がないのですが、歌が進むにつれて、やや厄介な内容が出てきます。

詩子アナ:では、そのやや厄介な内容を紹介してください。

歌樽先生:思い切ってやってみましょう。次の4行です。

날 긇다 말어라

家長님만 님이랴

오다가다 만나도

정 붓들면 님이지.

詩子アナ:「님;ニム」が3つありますね。なかなか日本語には訳しにくいですね。

歌樽先生:「임:イム」ともいいますが、一言では言えないので、辞書には「恋い慕う人、恋人、主人、夫、彼氏、あなた、愛人、親子、君臣、主、友」などの訳が付いていますね。

詩子アナ:「긇다」はあまり見ませんので、国立国語院標準国語大辞典で調べてみます。「긁다:掻く」の方言(全南)、「그르다(間違っている)の方言(全南、平北)」、「끓다(沸く)の古語」とあります。ここでは、「間違っている、正しくない」という意味のようですね。

歌樽先生:訳すとどうなりますか?

詩子アナ:「私を間違っていると言わないでよ、夫だけがニムというわけではないでしょ。行ったり来たりしているうちに会って情が湧くことがあるでしょ?そうなればニムですよ。」という内容ですね。

おかしくないわ

夫でなくも

道々出会い

情湧けばニム

歌樽先生:では、次に行く前に問題を一つやっておきましょう。

第21問:上の詩の「오다가다」を使った諺で最も関連の深いのは次のどれでしょうか。

1)옷깃(襟:えり) 2)소매(袖:そで)  3)눈() 4)가슴()

詩子アナ:これは、まず服の一部か体の一部かという二択にします。

歌樽先生:得意の解決法にもってきましたね。

詩子アナ:特異といわれることも多いのですが。体の一部の方は、「눈이 맞다:男女の情が通じる」「가슴이 설레다:胸が騒ぐ」などがありますね。

歌樽先生:決まりましたか。

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