紙上中継「ハングルの詩のある風景」素月と無主空山 第14回
詩子アナ:明治・大正時代の小説は漢字にルビが振られていないと読むのが大変です。スマホで調べてみます。出て来ました、丸の内あたりです。「一丁倫敦」と「一丁紐育」がありましたが、門司は東京とは違いますから。
歌樽先生:ちょっと覗かせていただきましょう。丸の内の中心が一丁倫敦のあった鍛冶橋(かじばし)通りから行幸通り周辺の一丁紐育へとですか。なるほど、ヨーロッパやアメリカへの憧れが強かったようですね。得意の二択戦略は使えませんか。
詩子アナ:そういわれては仕方ありません。究極の二択、参ります!
歌樽先生:生き返りましたね。
詩子アナ:まず、倫敦(ロンドン)、巴里(パリ)、羅馬(ローマ)はいずれもラ行があります。このラ行グループと紐育(ニューヨーク)を分けて二択にします。長音の有無で分けることもできますが、現地の音とはかけ離れたものになっていることも多く、実は説明が難しいのです。ここではラ行の音の有無で分ければ「ニューヨーク」が外れ、「ローマは一日にして成らず」「花の都パリ」「霧の都ロンドン」が残ります。
歌樽先生:これでずいぶん答えに近づきましたね。
詩子アナ:力強いお言葉、感謝、感謝です。
歌樽先生:では、次のステップに行ってください。
詩子アナ:次は、説明し難いグループと説明がつかないグループの二択を考えます。
歌樽先生:どういうことかよくわかりませんが、やってみてください。
詩子アナ:はい。門司を羅馬に比べるには無理があります。門司は港ですが、「総ての道はローマに通ず」でいわれるほどの港ではないでしょう。パリは歴史、文化、芸術の総合点で「花の都」となっているわけですから、このパリを門司が使い切るには荷が重い気がします。そこで、説明が難しい1)が残りました。
第19問:答は1)倫敦(ロンドン)です。
歌樽先生:大正解です。今回の問題は全く無意味な推測ではなかったようですね。
詩子アナ:お褒めのお言葉、大感謝!
歌樽先生:門司にはガス灯が作られて、それが霧の都、ロンドンと似ているところから「一丁倫敦」と呼ばれたそうですよ。
詩子アナ:「一丁」というのは何ですが。
歌樽先生:距離の単位では約109メートルですが、ここでは「街、町」といった意味でしょう。
詩子アナ:チェランは寧邊に来てからどのくらい経っていたのですか。
歌樽先生:半年くらいだそうです。
詩子アナ:また、ここからどこかに連れていかれるのでしょうか。
歌樽先生:そのあたりについては何も書かれていませんが、ここに来ることが出来た理由をチェランはこんな風に歌っています。
내가 여기 웨왔나
南浦[남포]의 사공님
날 실어다 주었소.
詩子アナ:「私がなぜここに来たのかといえば、それは南浦の船頭さんが乗せてくれたから」という内容のようですね。
歌樽先生:「내가 여기 웨왔나」の前に「三千里(삼천리)西道(서도)를」という歌詞が入っています。
第20問:では、この歌詞に出てくる「南浦」は次のどの都市と最も近いでしょうか。
1)釜山(부산) 2)仁川(인천) 3)平壌(평양) 4)元山(원산)
詩子アナ:釜山に南浦洞というところがありますね。仁川も元山も釜山と同様に港町で、平壌だけが港町ではないようですね。
歌樽先生:二択が炸裂しそうですね。
詩子アナ:そういわれると、そのような状況になってきましたね。「사공님:船頭さん」という言葉からすると港町に違いないのですが、釜山の南浦洞は釜山ですから、「最も近い都市」には入りませんから、分かりました。
第20問:答は3)平壌、です。
歌樽先生:港かそうでないかの二択で解いたようですね。正解です。
詩子アナ:そうすると、南浦から平壌、平壌から寧邊(영변)というルートでしょうが、南浦の船長さんにはどこで船に乗せてもらったのでしょうか。










