• [紙上中継] ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第10回

     

    詩子アナ:まず、詩をもう一度書いてみます。

     하늘로 날아다니는 제비의 몸으로도
    一定(일정) 깃을 두고 돌아오거든 !
    어찌 섧지 않으랴, 집도 없는 몸이야 !

    ハングルを見ていると、「몸」と「몸」が国、国、国、国と叫んでいるようですね。そういえば、私も国という文字を略して「口」と書いたことが子供の頃ありましたよ。こういう略した書き方は昔はなかったのですか。

    歌樽先生:もともと「口」は「圍(かこむ)」と「國(くに)」の字の「古字」でしたから、国の意味で使われていたようですね。

    詩子アナ:先生、音のことじゃないんですけど、私、すごいことを発見しました。

    歌樽先生:それは大変だ。切符を切らなくては。

    詩子アナ:切符ですか、違いますよ。ハングルに丸がたくさんあります。

    歌樽先生:では、数えてみてください。

    詩子アナ:1行目4つ、2行目6つ、3行目7つで17個もありますよ。

    歌樽先生:原本はそうなっていないでしょう。こちらで数えてごらんなさい。

    kanewakas10

     

    詩子アナ:「하늘」が「하눌」となってますよ。

    歌樽先生:表記法がずいぶん違っていますから、いろいろと発見がありますね。

    詩子アナ:1行目は3つ、2行目も3つ、3行目は5つで、合計11箇所。6つも少なくなりました。

    歌樽先生:しかし、なかなか鋭い指摘ですよ。

    詩子アナ:「하」「일」「어」のどれもが同じ「土」のグループの音です。これは春でも夏でも秋でも冬でもない、つまり四季がない、国がないんだから、それどころではないのであーる。

    歌樽先生:これはまた、好調の「であーる」節がでましたね。

    14問:オオバネルが祖国を思う気持ちを上田敏が天国を「波羅葦増雲」と訳したわけですが、この「天国」は「つばめ」では、どこにいったでしょうか。

    詩子アナ:えっ!天国はなかったんじゃないんですか。以前、出てきた気がしますが。

    歌樽先生:以前はなかったのですが、今回は出てきたのです。

    詩子アナ:なかったのに出てきたんですか?!

  • [紙上中継] ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第9回

     

    詩子アナ:「몸」にあたる漢字ですか。詩に用いられた漢字は「一定」の2文字だけですよ。

    歌樽先生:そこのところをしっかり見てみましょう。

    詩子アナ:そこのところといわれても、そこがよく分かりませんが。

    歌樽先生:金素月は何を習っていましたか。

    詩子アナ:それは、いろいろと学んでいたと思いますが。「千字文」を九九を暗唱するように、習ったというのは以前教わりましたが。

    歌樽先生:では「千字文」で「一」に当たる文字はどこにありますか。

    詩子アナ:「一」ではなくて、「一」に当たる文字ですか。

    歌樽先生:昔は「一」は「壹」という字を書いていましたし、「1円札」はこの「壹」でしたよ。

    http://matome.naver.jp/odai/2133498493901597301

    詩子アナ:お札にね、そうですか。「千字文」を調べてみます。

    http://ameblo.jp/n-kujoh/entry-11279861186.html

    歌樽先生:そこの部分を書いてみましょう。

    詩子アナ:千字文16

    <意味>「遐邇壹體、率賓歸王」…かじたいをいつにし、そっぴんおうにきす

    遠きも近きも身を一つにして、四海の限り国内の果てまでも、聖王に従う

    歌樽先生:何か分かりましたか。

    詩子アナ:いえ、なかなかはっきりしません。「広い国土のあちこちから帰属、臣服する人たちが、名君のもとに我も我もと一団となってやってくる。」という説明がありますが。

    http://www.seikeikai.net/senji/date_06-28-2009.html

    歌樽先生:「壹體」の「壹」は「一」、「體」は「体」ですから、つまり「体」という漢字が「一」と繋がっているんです。

    詩子アナ:「一定」の「一」が、「一体」の「体」に繋がるというのは、どういうことですか。

    歌樽先生:「一定」と「一体」が一体どうなっているのかを聞きたい訳でしょ。

    詩子アナ:ええ、そういうことになるでしょうか。

    歌樽先生:ここまでの流れをもう一度たどってみると、一向に分からないということはないと思うのですが。

    詩子アナ:「一度」「一向」ですが、まず、「一」ですね。「一」という漢字は覚えるまでもありませんが、「한늘 천」の覚え方だとどうなるのですか。

    歌樽先生:いいところに気が付きました。もう大丈夫でしょう。

    詩子アナ:えっ?

    歌樽先生:「한 일」です。

    詩子アナ:「한:一つの일:一」ですか、「한:韓 일:日」と発音が同じですね。

    歌樽先生:では「定」は?

    詩子アナ:「定:정할 정」。

    歌樽先生:では「一定」は?

    詩子アナ:「일정」、「日政:일정」とは「日政時代」ですから、日韓併合にことをいっている訳ですか。深いですね。

    歌樽先生:「壹體」は?

    詩子アナ:「體」はどう覚えるのですか。

    歌樽先生:「體:몸 체」です。「遐邇壹體、率賓歸王」も踏まえてのことでしょう。

    詩子アナ:なるほど、これで分かりました。「一定」は「日政」、「千字文」によると「壹體」が熟語になっていて、「일체」で「日體」、「體」は「몸」で、これが国構えを示している。

    つばめでも帰るところがあるのに、「日韓併合」のため国を失い、帰ることろがないと訴えている歌になっている、といった理解でいいのでしょうか。

    そういうことで「一定」だけが漢字で書かれていた訳ですね。何か変だと思うところはありませんかというのは、ここだったんですか。

    歌樽先生:では、詩の音の特徴がいくつかあります。ということで、

    第13問:この詩の音の特徴を挙げてみましょう。

  • [紙上中継] ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第8回

     

    歌樽先生:では、言ってみましょう。

    詩子アナ:「식구:食口」の「口」が2つで、「食口」は「家族」だから、家族が集まって「国」と考えましたが、いかがでしょうか。

    歌樽先生:かなり自信があるようですね。

    詩子アナ:いいえ、「くにくの策」です。

    歌樽先生:いい線まで来ました。もう少しです。周囲に影響されず、固くならないで、行けばもう少しでゴールでしょう。

    詩子アナ:あと、どのくらいですか。

    歌樽先生:どのくらいと言われても、もう何回も同じようなことを言っていますからね。

    詩子アナ:何回もですか。もう一つヒントを。

    歌樽先生:今までの話が全てヒントになっているはずなのですが。

    詩子アナ:分かった!!

    第10問:「口」です。

    歌樽先生:正解です。この「構え」を日本語でなんといいますか。

    詩子アナ:構え?「構え」なんですか。

    歌樽先生:構えではなかったのですか。

    詩子アナ:「周囲」の「周」と「囲」、「固い」の「固」、「何回」の「回」にはどれも口の字が中に入っていますから、この中の「口」の字と「몸」の「口」の字かと思いましたが。

    歌樽先生:外側の「構え」のことです。

    詩子アナ:構えは「国がまえ」です。えっ!「国」がここに入っていたのですか。驚きました。

    歌樽先生:漢字の部首の「国構え」は「큰입구몸」といいます。

    詩子アナ:えっ!!「큰입구몸」つまり「大きい口の構え」なんですか。

    歌樽先生:ただ「몸」とだけ言うこともあります。

    詩子アナ:「ㅁ」の形だけでも「国構え」なのに、これが2つある文字の意味が「国構え」であればもう何ともいえませんね。金素月のアイディアには呆然とするばかりです。

    歌樽先生:国の字のもとの字は分かりますか。

    詩子アナ:国構えの中に「或る女」の「或る」の漢字が入る「國」ですか。

    歌樽先生:そうそう。それは本字ですが、有島武郎の『或る女』をよく知っていましたね。

    詩子アナ:いえいえ、そう誉められても。

    歌樽先生:『或る女』の登場人物、誰か思い出せますか。

    詩子アナ:女の人ですか、男の人ですか。

    歌樽先生:どちらでもいいですが。

    詩子アナ:「葉子」ですか。

    歌樽先生:ちゃんと覚えていますね。

    第11問:その「葉子」の初めの夫のモデルとなったのは誰でしょうか。

    1)有島武郎  2)島崎藤村  3)国木田独歩  4)志賀直哉

    詩子アナ:実際の話だったんですか。有島武郎は『或る女』の作者ですから、これ以外ですね。島崎藤村は『ある女の生涯』で、これはなし。志賀直哉は『或る朝』、国木田独歩は『ある・・』がありませんね。久しぶりの四択、いただきました。

    第11問:答は3)国木田独歩です。

    歌樽先生:『ある・・』がないからではなく、

    詩子アナ:先生、分かっていますよ、「国構え」の「国」でしょ。

    歌樽先生:読まれていましたか。実は、本当の話はこれからなんですよ。

    詩子アナ:えっ!!これでゴールではないのですか。もうこれで完璧だと思ったのですが。

    歌樽先生:「몸」を2つ使って、こちらに注目させているような仕掛けになっているんです。

    詩子アナ:では、他にも仕掛けがあるということですか。

    歌樽先生:仕掛けは一つとは限りませんからね。

    第12問:「」に当たるの漢字の秘密は?

  • [紙上中継] ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第7回

     

    詩子アナ:まず、2つの詩を並べてみます。

    歌樽先生:「깃」というのは「鳥の巣」のことです。

    ①故国    オオバネル
    小鳥でさえも巣は恋し、
    まして青空、わが国よ、
    うまれの里の波羅葦増雲 

    제비(つばめ)
    하늘로 날아다니는 제비의 몸으로도
    空を飛びまわるつばめの体でも
    一定 깃을 두고 돌아오거든 !
    一定の巣を置き帰ってくるんだ!
    어찌 섧지 않으랴, 집도 없는 몸이야 !
    どうして悲しくないだろうか、家もない体なんだ! 

    歌樽先生:二つの詩を比べて何か変だと思うところはありませんか。

    詩子アナ:えっ!金素月の詩で変なところがあるんですか。

    歌樽先生:変というか、何でなんだろうとおもうところと言ってもいいのですが。

    詩子アナ:あまりにも似すぎていて、どこがどうとはなかなかいいにくいのですが。

    歌樽先生:①の「小鳥、巣、青空」は、②の「つばめ、巣、空」に対応していますね。

    詩子アナ:ああ、そういうふうに比べてみると、①には「国」があるのに、②には「国」がありませんし、①には「波羅葦増雲」があるのに、②には天国がありません。でも、国を言葉に出すと、捕まるってさっきおっしゃっていましたよね。

    歌樽先生:はい、いいました。

    第9問:では、「つばめ」のどこに国があるでしょうか。

    詩子アナ:確か、今回の詩のキーハングルは「몸:体」ですよね。

    歌樽先生:そういいましたよ。

    詩子アナ:しかも「몸」は2度使われていますね。つばめの「몸」と自分の「몸」なんでしょうか。

    歌樽先生:なかなかいいところを突いてきましたね。

    詩子アナ:よかった。やっとゴールに向かって歩き始めた感じになってきました。ということは、、

    第9問:国は「」に隠れている!

    歌樽先生:答が合っても理由がわからないと、意味がありませんね。もう少し、考えを「もむ」ということをしてほしいですね。

    詩子アナ:出てきましたね、独断と偏見の歌樽先生の真骨頂ですね。

    歌樽先生:詩子さんも急に元気になりましたね。

    詩子アナ:お陰様で。もう少しヒントがあればもっと元気になるんですが。

    歌樽先生:そこまでいわれると、しょうがありませんね。易しすぎるのですが、大ヒントです。

    第10問:「몸」の文字をしっかり見て、分かることをいいなさい。

    詩子アナ:「모」の下に「ㅁ 」があります。

    歌樽先生:他には?

    詩子アナ:「ㅁ」と「ㅗ」と「ㅁ」があります。

    歌樽先生:近づいてきましたよ。

    詩子アナ:ヤッター!国に近づいて来た訳ですね。

    歌樽先生:近づきすぎると見えにくくなる場合もありますよ。

    詩子アナ:では、少し離れて見ます。分かりました!

  • [紙上中継] ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第6回

     

    詩子アナ:「朔州龜城」のここのところですか。

    第7問:答。     삭주 구성(朔州龜城)

    (前略)
    서로 떠난 몸이길래 몸이 그리워
    님을 둔 곳이길래 곳이 그리워
    못 보았소 새들도 집이 그리워
    남북으로 오며가며 아니합디까
    (後略)
    http://hompi.sogang.ac.kr/mkyang/music/poems/p015006.htm

    歌樽先生:素月の生まれた地を詠った詩です。

    詩子アナ:「새들도 집이 그리워:鳥たちも巣が恋し」とあるのが、オオバネルの「祖国」の中の「小鳥でさえも巣は恋し」とそっくりですね。

    歌樽先生:素月にとって「生まれの里」は「朔州龜城」、素月は「祖国」という言葉を使わずに、オオバネル「祖国」への思いと同じものを表わそうと考えたのです。

    詩子アナ:なぜ、「祖国」の語を使わないで、オオバネル「祖国」への思いと同じものを表わそうと思ったのですか。

    歌樽先生:そんなことをすればすぐに捕まってしまいますからね、書けなかったんですよ。

    詩子アナ:捕まるのですか。

    歌樽先生:韓国の独立を叫んだとして捕まるでしょうね。事実、韓国の独立のための運動は弾圧を受けましたし、犠牲者もたくさん出ましたからね。素月の叔母の桂熙永さんの書いた『私の育てた素月』(章文閣)の「はじめに」には

    「彼の中心の詩は全て倭警に押収されて燃やされてしまった。今残っている詩はその当時に思想的に問題がないと認定され、許可されたいわゆる純情の詩だ」と書かれています。

    また、金素月は何度も警察の呼び出しを受けてほとほと困っていた様子も桂熙永さんが同じ本の第7章で証言しています。

    詩子アナ:そういう時代だったのですか。

    歌樽先生:そういう時代でしたね。そこで、金素月が天才振りを発揮したのが、「제비:つばめ」という短い詩です。

    詩子アナ:どういうことですか。

    歌樽先生:オオバネルの「祖国」という詩は上田敏の訳で日本で有名になった。特に日韓併合によって国を失った韓国の人はオオバネルの「祖国」を読んで心を打たれたことでしょう。でも、このままだとプロヷンスの詩なので、同じ気持ちだといっても、プロヷンスを思う詩に終わってしまう。これを何とかして自国を失った詩にしたい、こう思って、ある方法を思いついたようです。

    第8問:金素月は次のどのような方法を用いたと考えられるでしょうか。

    1)序詞  2)縁語  3)掛詞  4)本歌取り

    詩子アナ:金素月は和歌の技法といったものを知っていたのでしょうか。

    歌樽先生:「7・5調」を用いたといって以前非難を受けたくらいですから、それはよく勉強していたと思いますね。

    詩子アナ:なぜ非難を受けたのですか。

    歌樽先生:支配をうけた日本の和歌の音律を使ったからというのがその理由のようです。

    詩子アナ:大変な時代だったんですね。

    歌樽先生:「つばめ」と「祖国」を比べるとすぐ分かると思いますが。

    詩子アナ:分かりました。

    第8問:4)本歌取りです。

    歌樽先生:では、どのように本歌取りをしたのか、見て行きましょう。

    詩子アナ:はい。では比べてみます。

  • 紙上中継:ハングルの詩のある風景 제비 つばめ 第5回

     

    詩子アナ:ノーヒントは辛いですね。

    歌樽先生:上田敏が直接書いているところがありますね。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#141

    詩子アナ:ああ、ここですか。

    オオバネルは、ミストラル、ルウマニユ等と相結で、十九世紀の前半に近代プロヷンス語を文藝に用ゐ、南歐の地を風靡したるフェリイブル詩社の翹楚なり。         パライソウ

    「故国」の譯に波羅葦増雲とあるば、文禄慶長年間葡萄牙語より轉じて一時、わが日本語化したる基督教法に所謂天國の意なり。

    歌樽先生:難しい字もありますが、おおよそ意味はとれますか。

    詩子アナ:いえ、分からないことだらけです。

    歌樽先生:ミストラルはノーベル文学賞を受賞していますね。、

    詩子アナ:そんなに有名な方なんですか。

    歌樽先生:序文の初めの部分もこの際、読んでおきましょうか。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#6

    詩子アナ:ちょっと読めない字もありますから、まず書いてみます。


    巻中収むる所の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亜に三人、英吉利に四人、独逸に七人、プロヷンスに一人、而して佛蘭西には十四人の多きに達し、曩の高踏派と今の象徴派とに屬する者其大部を占む。

    歌樽先生:序文の最後に「明治三十八年初秋 上田敏」とありますから、1905年ですね。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#14

    詩子アナ:ここに天国を「波羅葦増雲」と訳したヒントがあるんですね。

    歌樽先生:はい、その通りです。よく考えましょう。

    詩子アナ:プロバンス地方は確か南フランスだと思いますが、ここはフランスとは別の国として書かれているようですね。

    歌樽先生:それはいい所に気が付きましたね。ということはどういうことでしょうか。

    詩子アナ:今はフランス、昔はそうでなかった、つまりフランスになっちゃったというか、フランスにされてしまったということですか。

    歌樽先生:そこで?

    詩子アナ:そこで、プロヷンスに一人と書いてあるこの一人がオオバネルで、プロヷンスが危ないという訳で、「十九世紀の前半に近代プロヷンス語を文藝に用ゐ」たため、フランス語と違うやや遠いポルトガル語で天国を「波羅葦増雲」と訳したんですね。それではよく分からないから、「文禄慶長年間葡萄牙語より轉じて一時、わが日本語化したる基督教法に所謂天國の意なり。」という説明をつけた、、、こんな感じでしょうか。

    歌樽先生:ちなみに「文禄慶長年間」の「文禄慶長の役」もあとで調べておいてください。

    詩子アナ:はい、ということはこれも関連が深いんですね。

    歌樽先生:では、もう一度同じ質問をしましょう。

    第6問:なぜパラダイスを「波羅葦増雲」と訳したのでしょうか。

    詩子アナ:まとめるのが難しいですが、やってみます。

    第6問:オオバネルが祖国を思う気持ちを配慮して、フランス語ではないことを示すためにポルトガル語でかつて訳されたことのある「波羅葦増雲」を天国の訳に当てた。

    歌樽先生:こうしてオオバネルと金素月のこころが繋がったのでしょう。

    第7問:オオバネルと金素月のこころが繋がったことを示す部分を「朔州龜城:삭주구성」という金素月の詩から探しましょう。

  • 紙上中継:ハングルの詩のある風景 제비 つばめ 第4回

     詩子アナ:「な、や、も、け、わ、こ、た、と、ら、こ、う、た、し、こ」だから、ええと、「あ」が「な、や、わ、た、ら、た」で6つ、「い」が「し」で1つ、「う」が1つ、「え」が「け」1つ、「お」が「も、こ、と、こ、こ」で5つだから、、分かりました。

    第5問:答は3)あお

    歌樽先生:この「あお」がヒントです。

    詩子アナ:「つばめ」という語がタイトルには付いていないんですね。

    歌樽先生:タイトルに燕のあるものは「燕の歌」だけですね。それから、「ヰリアム・シェイクスピア」さんの「花くらべ」が「燕も来ぬに水仙花、」で始まっていますね。

    詩子アナ:ということは、「つばめ」ではないが、意味が大切ということですかね。

    歌樽先生:ちなみに、この歌は当時とても有名で、こんなふうに理解されていたようです。

    새 새끼마저 제 깃이 그립다거던
    하물며 푸른 하늘, 고국땅이여
    내가 자라난 마을 파라타이스。

    『(増補版)素月詩鑑賞』張萬榮・朴木月(博英社)1957(p77-78)

    詩子アナ:じゃあ、これを訳せばわかりますね。大ヒント、いただきました!

    「푸른 하늘:青い空」、さっきのヒントの「あお」つまり「青空」があるのを探せば正解が目に見えているようですね。「3行詩、青空」で完璧です。

    歌樽先生:では、正解を。

    詩子アナ:ええと、少し、お時間を。

    第4問:「故国」です。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#140

    歌樽先生:正解です。

    詩子アナ:時間はかかりましたが、正解と聞いて、安心しました。読んでみます。

    [ここく]
    故国
    [ことり         す  こひ]
    小鳥でさえも巣は恋し、
    [          あをそら    くに]
    まして青空、わが国よ、
    [                 さと  パライソウ]
    うまれの里の波羅葦増雲
    (オオバネル)

    歌樽先生:「波羅葦増雲」というのは「パラダイス」です。

    詩子アナ:さっきの韓国語訳にあった「파라타이스」と同じですね。

    歌樽先生:そうですね。

    詩子アナ:でも、このオオバネルの「故国」と素月の「つばめ」がどういう関係にあるのですか。

    歌樽先生:それをじっくり考えていこうという訳です。

    詩子アナ:金素月はこの詩を知っていたのですか。

    歌樽先生:知っていたというより、研究したのだと思いますね。そうでないと「제비:つばめ」という詩は出来ていなかったでしょうからね。

    詩子アナ:そんなことが分かるんですか。

    歌樽先生:3行詩といえども侮れませんよ。

    第6問:なぜパラダイスを「波羅葦増雲」と訳したのでしょうか。

    詩子アナ:ヒントは?

    歌樽先生:ありません。

  • 紙上中継 ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第3

     

    詩子アナ:詩訳ではありません。意味だけ一語、一語訳してみます。

    하늘로 날아다니는 제비의 몸으로도

    空を飛びまわるツバメの体でも

    一定 깃을 두고 돌아오거든 !

    一定の敷き藁を置き帰ってくるんだ!

    어찌 섧지 않으랴, 집도 없는 몸이야 !

    どうして悲しくないだろうか、家もない体なんだ!

    歌樽先生:意味は抑えられたようですね。

    詩子アナ:詩になってなくて、すみません。

    歌樽先生:いえいえ、これからですから、大丈夫ですよ。では、この詩の内容に似ている詩をさきほどの『海潮音』から探してみましょう。

    詩子アナ:短い歌から探してみます。

    歌樽先生:なるほど。なかなかいい方法ですね。

    詩子アナ:先生、今日は誉めすぎじゃありませんか。なにか気になりますが。

    歌樽先生:この詩は何か気になるところがあると感じるところから出発する必要がありますから、なにか気になるというのはとてもいい出だしですよ。

    詩子アナ:やっぱり何かあるんですね。2ページ以内と思われるものを目次から挙げてみます。

    「わすれなぐさ」(p108)「山のあなた」(p109)「春」(p111)「秋」(p113)「わかれ」(p115)「水無月」(p117)「花のをとめ」(p119)「春の朝」(p132)「法の夕」(p163)「白楊」(p240)「故国」(p241)「海のあなたの」(p242)「解悟」(p242)「篠懸(すゞかけ)」(p244)「海光」(p246)

    なやもけわこたとらこうたしこ

    歌樽先生:2ページ以上のものが入っていますよ。

    詩子アナ:もう一度チェックしてみます。後ろの詩のページの差が2ページ以内で探したのですが、こうなると一つ一つ調べてみるしかありませんね。

    歌樽先生:目次と詩の内容を比べてチェックしながら見るといいですね。

    詩子アナ:あの、違ってました。これ「法(のり)の夕(ゆふべ)」と読むのですか、知りませんでした。後ろの詩の「水(みづ)かひば」は168ページでした。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#101

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#104

    「海のあなた」はなくても「海のあなたに」という詩はあったんですね。

    歌樽先生:詩子さんもこの詩を読んでいれば昭和の国民の常識に近づけたかもそれませんね。

    詩子アナ:それが、さっきの「山のあなた」ですか。

    歌樽先生:その通りです。お母さんかお父さんに訊いてごらんなさい。「やまのあなたのそらとおく」と言えば、すぐに「さいわいすむとひとのいう」と言ってくれると思いますよ。訳詩では「幸」を括弧でくくって「さいはい」とルビを振ってあります。「いう」も昔の訳ですから「いふ」となっています。これで、比べるもののリストができましたから、読んでいきましょう。

    詩子アナ:そうすれば「つばめ」と似た詩を探せるわけですね。

    歌樽先生:そういうことです。

    詩子アナ:ああ、大変だ。

    歌樽先生:大変なことは何もありません。まだ「つばめ」の入り口にも入っていないんですから。

    詩子アナ:あー、一取られてしまった!

    歌樽先生:このあたりでうろうろしていては先に進めませんので、第4問はあとにしましょう。

    第5問:対象になった詩の14の訳詩の一文字目の初めの音の母音を多い順に並べると上位2つの並び方は次のうちのどれでしょうか。

    1)あい  2)うえ  3)あお  4)おい

  • 紙上中継 ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第2回

     

    詩子アナ:まず、詩の紹介を御願いします。

    歌樽先生:短い詩です。タイトルは「제비:つばめ」です。

     

    하늘로 날아다니는 제비의 몸으로도

    一定 깃을 두고 돌아오거든 !

    어찌 섧지 않으랴, 집도 없는 몸이야 !

     

    詩子アナ:これは短い詩のようですが、何か深い意味があるのですか。

    歌樽先生:いかに深い詩かということはだんだん分かっていくでしょう。しっかり学べばね。

    詩子アナ:はい、しっかり学びます。

    歌樽先生:では、まず『海潮音』という詩集からこの歌とよく似た詩を探しなさい。

    詩子アナ:あの、ちょっとレベルが高すぎるのですが、もっとゆっくりやっていただけると番組的にもありがたいのですが。

    歌樽先生:なるほど、番組的にといわれると、私もすみませんというしかありませんね。

    詩子アナ:いえいえ、そういうつもりではありませんので、あの、すこしお手柔らかくという感じで。

    歌樽先生:では、初めからゆっくりということで、やさしい問題を出しましょう。

    第2問:『海潮音』は西欧の詩人の詩を訳した詩集ですが、誰が訳したでしょうか。

    1)高村光太郎  2)上田敏  3)堀口大学  4)北原白秋

    詩子アナ『海潮音』、『海潮音』、ありました。スマホで調べました。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#4

    第2問:答は2)上田敏です。

    歌樽先生:では、上田敏の翻訳した詩に関するものです。

    第3問:上田敏訳の有名な詩を次の中から選んでみましょう。

    1)山のあなた  2)海のあなた  3)空のあなた  4)雲のあなた

    詩子アナ:えー、あなた、あなた、ありました。目次の最後の行にありました。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#16

    第3問:答は1)山のあなた、です。

    歌樽先生:調べてでてくるものは、それが正しければ正しい分だけわかりますね。

    詩の内容は知っていますか。

    詩子アナ:知りません。

    歌樽先生:では、どんな詩か調べてみましょう。

    詩子アナ:はい、ありました。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#74

    歌樽先生:「山のあなた」は覚えてもらうことにして、次に行きましょう。

    第4問:この『海潮音』の詩集のなかで、金素月の「つばめ」と似ている詩をさがしましょう。

    詩子アナ:えー、ありました。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#15

    第4問:1ページの「燕の歌」

    歌樽先生:残念でした。違います。

    詩子アナ:では、159ページの「鷺の歌」。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#18

    歌樽先生:残念でした。違います。詩のタイトルだけではわかりません。詩を読んでいかないとだめですね。

    詩子アナ:分かりました。少し時間をいただければ、探します。

    歌樽先生:では、捜す前に、「제비:つばめ」という詩のおよその内容をまず押さえておきましょう。

    ということで、まず、直訳でいいですから、「제비:つばめ」を訳してみましょう。

    詩子アナ:わかりました。およそということで、やってみます。

     

  • 紙上中継 ハングルの詩のある風景:제비 つばめ 第1回

     

    詩子アナ:今回は川辺であればどこでもいいということで、こんなところに来ています。

    早速、歌樽先生に伺ってみましょう。今回の詩のキーとなるハングルはずばり、何でしょうか。

    歌樽先生:ずばーり、、、難しいですね。実は同じ題の詩が二つあるんです。

    詩子アナ:同じ第が2つということは、全部で4つということですか。

    歌樽先生:なるほど、そういう数え方も確かにありますね。これは一本とられました。

    詩子アナ:ヤッター!じゃあ、同じ題のものが一組といっていいかどうかはわかりませんが、ともかくワンセットあるということのようですね。今日は初めからなかなか出出しからいい調子、いい調子。

    歌樽先生:まあ、こういうのを調子に乗るということなんでしょうね。

    詩子アナ:じゃ、ワンセットではないということなんですね。

    歌樽先生:そもそも、セットという概念ではないんです。それぞれ別々に作っていますから。

    詩子アナ:全く別々なんですか?

    歌樽先生:全く別々かといわれると、詩は詩ですし、共通点がなしという訳ではありませんから、そこはなんともいえません。

    詩子アナ:歌樽先生が困っている様子をみなさんご覧になっていまーす。

    歌樽先生:では、このへんで何か問題を出しておきましょう。

    第1問:金素月の詩で「제비:つばめ」という同じタイトルを持つ詩が2つありますが、他にも同じタイトルの詩があります。そのタイトルは次の内どれでしょうか。

    1)無題  2)有題  3)失題  4)兼題

    詩子アナ:「兼題」は確か俳句で聞いたことがあるような気がします。

    歌樽先生:句会に行ったことがあるようですね。

    詩子アナ:いえいえ、行った事はありません。聞いたことがあるだけですが、兼題で2つ詩を作ることはない気がします。

    歌樽先生:では、3つに絞られましたね。

    詩子アナ:2)の有題というのは題があるわけですから、あればその題を書けばいい訳ですから、答は1)無題か、3)失題とこんな感じでしょうか。

    歌樽先生:推理力が一段と冴え渡っていますね。

    詩子アナ:ヤッター!そんなに誉められると、もう有頂天になりますから、困ります。

    歌樽先生:ちっとも困っていないように見うけられますよ。では、どちらかに決めましょう。

    詩子アナ:無題という題を付けると、それも題ですから、少なくとも無題ではないということで排除すると、3番の「失題」だと思いますが、いかがでしょうか。

    歌樽先生:無敵ですね。

    第1問:正解は3)失題です。

    詩子アナ:それはどんな詩ですか。

    歌樽先生:一つのほうは易しくて、いいのですが、もう一つは理解するのがとても難しい詩です。

    詩子アナ:では、易しいほうを少しだけ紹介してください。

    歌樽先生:では、少しだけということで。タイトルは「失題」と漢字で書かれています。

    동무들 보십시오 해가 집니다  みんなごらんよ

    해지고 오늘날은 가노랍나다   めば 今日とはおれさ

    웃옷을 잽시빨리 입으십시오   羽織って さあ

    우리도 산마루로 올라갑니다   らもお ろうよ

    詩子アナ:はい、分かりました。こんな感じということで、理解したことにして、今回扱う「つばめ」という詩のキーとなる部分を「ずばーり」指摘してください。ではお願いします。

    歌樽先生:「몸」でしょうかね。

    詩子アナ:ずばーり、「몸」、いただきました!さて、今回の詩のキーハングル「몸:体」の入った詩とはどんな詩でしょうか。