• [紙上中継] ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第7回

     

    詩子アナ:まず、2つの詩を並べてみます。

    歌樽先生:「깃」というのは「鳥の巣」のことです。

    ①故国    オオバネル
    小鳥でさえも巣は恋し、
    まして青空、わが国よ、
    うまれの里の波羅葦増雲 

    제비(つばめ)
    하늘로 날아다니는 제비의 몸으로도
    空を飛びまわるつばめの体でも
    一定 깃을 두고 돌아오거든 !
    一定の巣を置き帰ってくるんだ!
    어찌 섧지 않으랴, 집도 없는 몸이야 !
    どうして悲しくないだろうか、家もない体なんだ! 

    歌樽先生:二つの詩を比べて何か変だと思うところはありませんか。

    詩子アナ:えっ!金素月の詩で変なところがあるんですか。

    歌樽先生:変というか、何でなんだろうとおもうところと言ってもいいのですが。

    詩子アナ:あまりにも似すぎていて、どこがどうとはなかなかいいにくいのですが。

    歌樽先生:①の「小鳥、巣、青空」は、②の「つばめ、巣、空」に対応していますね。

    詩子アナ:ああ、そういうふうに比べてみると、①には「国」があるのに、②には「国」がありませんし、①には「波羅葦増雲」があるのに、②には天国がありません。でも、国を言葉に出すと、捕まるってさっきおっしゃっていましたよね。

    歌樽先生:はい、いいました。

    第9問:では、「つばめ」のどこに国があるでしょうか。

    詩子アナ:確か、今回の詩のキーハングルは「몸:体」ですよね。

    歌樽先生:そういいましたよ。

    詩子アナ:しかも「몸」は2度使われていますね。つばめの「몸」と自分の「몸」なんでしょうか。

    歌樽先生:なかなかいいところを突いてきましたね。

    詩子アナ:よかった。やっとゴールに向かって歩き始めた感じになってきました。ということは、、

    第9問:国は「」に隠れている!

    歌樽先生:答が合っても理由がわからないと、意味がありませんね。もう少し、考えを「もむ」ということをしてほしいですね。

    詩子アナ:出てきましたね、独断と偏見の歌樽先生の真骨頂ですね。

    歌樽先生:詩子さんも急に元気になりましたね。

    詩子アナ:お陰様で。もう少しヒントがあればもっと元気になるんですが。

    歌樽先生:そこまでいわれると、しょうがありませんね。易しすぎるのですが、大ヒントです。

    第10問:「몸」の文字をしっかり見て、分かることをいいなさい。

    詩子アナ:「모」の下に「ㅁ 」があります。

    歌樽先生:他には?

    詩子アナ:「ㅁ」と「ㅗ」と「ㅁ」があります。

    歌樽先生:近づいてきましたよ。

    詩子アナ:ヤッター!国に近づいて来た訳ですね。

    歌樽先生:近づきすぎると見えにくくなる場合もありますよ。

    詩子アナ:では、少し離れて見ます。分かりました!

  • [紙上中継] ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第6回

     

    詩子アナ:「朔州龜城」のここのところですか。

    第7問:答。     삭주 구성(朔州龜城)

    (前略)
    서로 떠난 몸이길래 몸이 그리워
    님을 둔 곳이길래 곳이 그리워
    못 보았소 새들도 집이 그리워
    남북으로 오며가며 아니합디까
    (後略)
    http://hompi.sogang.ac.kr/mkyang/music/poems/p015006.htm

    歌樽先生:素月の生まれた地を詠った詩です。

    詩子アナ:「새들도 집이 그리워:鳥たちも巣が恋し」とあるのが、オオバネルの「祖国」の中の「小鳥でさえも巣は恋し」とそっくりですね。

    歌樽先生:素月にとって「生まれの里」は「朔州龜城」、素月は「祖国」という言葉を使わずに、オオバネル「祖国」への思いと同じものを表わそうと考えたのです。

    詩子アナ:なぜ、「祖国」の語を使わないで、オオバネル「祖国」への思いと同じものを表わそうと思ったのですか。

    歌樽先生:そんなことをすればすぐに捕まってしまいますからね、書けなかったんですよ。

    詩子アナ:捕まるのですか。

    歌樽先生:韓国の独立を叫んだとして捕まるでしょうね。事実、韓国の独立のための運動は弾圧を受けましたし、犠牲者もたくさん出ましたからね。素月の叔母の桂熙永さんの書いた『私の育てた素月』(章文閣)の「はじめに」には

    「彼の中心の詩は全て倭警に押収されて燃やされてしまった。今残っている詩はその当時に思想的に問題がないと認定され、許可されたいわゆる純情の詩だ」と書かれています。

    また、金素月は何度も警察の呼び出しを受けてほとほと困っていた様子も桂熙永さんが同じ本の第7章で証言しています。

    詩子アナ:そういう時代だったのですか。

    歌樽先生:そういう時代でしたね。そこで、金素月が天才振りを発揮したのが、「제비:つばめ」という短い詩です。

    詩子アナ:どういうことですか。

    歌樽先生:オオバネルの「祖国」という詩は上田敏の訳で日本で有名になった。特に日韓併合によって国を失った韓国の人はオオバネルの「祖国」を読んで心を打たれたことでしょう。でも、このままだとプロヷンスの詩なので、同じ気持ちだといっても、プロヷンスを思う詩に終わってしまう。これを何とかして自国を失った詩にしたい、こう思って、ある方法を思いついたようです。

    第8問:金素月は次のどのような方法を用いたと考えられるでしょうか。

    1)序詞  2)縁語  3)掛詞  4)本歌取り

    詩子アナ:金素月は和歌の技法といったものを知っていたのでしょうか。

    歌樽先生:「7・5調」を用いたといって以前非難を受けたくらいですから、それはよく勉強していたと思いますね。

    詩子アナ:なぜ非難を受けたのですか。

    歌樽先生:支配をうけた日本の和歌の音律を使ったからというのがその理由のようです。

    詩子アナ:大変な時代だったんですね。

    歌樽先生:「つばめ」と「祖国」を比べるとすぐ分かると思いますが。

    詩子アナ:分かりました。

    第8問:4)本歌取りです。

    歌樽先生:では、どのように本歌取りをしたのか、見て行きましょう。

    詩子アナ:はい。では比べてみます。

  • 紙上中継:ハングルの詩のある風景 제비 つばめ 第5回

     

    詩子アナ:ノーヒントは辛いですね。

    歌樽先生:上田敏が直接書いているところがありますね。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#141

    詩子アナ:ああ、ここですか。

    オオバネルは、ミストラル、ルウマニユ等と相結で、十九世紀の前半に近代プロヷンス語を文藝に用ゐ、南歐の地を風靡したるフェリイブル詩社の翹楚なり。         パライソウ

    「故国」の譯に波羅葦増雲とあるば、文禄慶長年間葡萄牙語より轉じて一時、わが日本語化したる基督教法に所謂天國の意なり。

    歌樽先生:難しい字もありますが、おおよそ意味はとれますか。

    詩子アナ:いえ、分からないことだらけです。

    歌樽先生:ミストラルはノーベル文学賞を受賞していますね。、

    詩子アナ:そんなに有名な方なんですか。

    歌樽先生:序文の初めの部分もこの際、読んでおきましょうか。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#6

    詩子アナ:ちょっと読めない字もありますから、まず書いてみます。


    巻中収むる所の詩五十七章、詩家二十九人、伊太利亜に三人、英吉利に四人、独逸に七人、プロヷンスに一人、而して佛蘭西には十四人の多きに達し、曩の高踏派と今の象徴派とに屬する者其大部を占む。

    歌樽先生:序文の最後に「明治三十八年初秋 上田敏」とありますから、1905年ですね。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#14

    詩子アナ:ここに天国を「波羅葦増雲」と訳したヒントがあるんですね。

    歌樽先生:はい、その通りです。よく考えましょう。

    詩子アナ:プロバンス地方は確か南フランスだと思いますが、ここはフランスとは別の国として書かれているようですね。

    歌樽先生:それはいい所に気が付きましたね。ということはどういうことでしょうか。

    詩子アナ:今はフランス、昔はそうでなかった、つまりフランスになっちゃったというか、フランスにされてしまったということですか。

    歌樽先生:そこで?

    詩子アナ:そこで、プロヷンスに一人と書いてあるこの一人がオオバネルで、プロヷンスが危ないという訳で、「十九世紀の前半に近代プロヷンス語を文藝に用ゐ」たため、フランス語と違うやや遠いポルトガル語で天国を「波羅葦増雲」と訳したんですね。それではよく分からないから、「文禄慶長年間葡萄牙語より轉じて一時、わが日本語化したる基督教法に所謂天國の意なり。」という説明をつけた、、、こんな感じでしょうか。

    歌樽先生:ちなみに「文禄慶長年間」の「文禄慶長の役」もあとで調べておいてください。

    詩子アナ:はい、ということはこれも関連が深いんですね。

    歌樽先生:では、もう一度同じ質問をしましょう。

    第6問:なぜパラダイスを「波羅葦増雲」と訳したのでしょうか。

    詩子アナ:まとめるのが難しいですが、やってみます。

    第6問:オオバネルが祖国を思う気持ちを配慮して、フランス語ではないことを示すためにポルトガル語でかつて訳されたことのある「波羅葦増雲」を天国の訳に当てた。

    歌樽先生:こうしてオオバネルと金素月のこころが繋がったのでしょう。

    第7問:オオバネルと金素月のこころが繋がったことを示す部分を「朔州龜城:삭주구성」という金素月の詩から探しましょう。

  • 紙上中継:ハングルの詩のある風景 제비 つばめ 第4回

     詩子アナ:「な、や、も、け、わ、こ、た、と、ら、こ、う、た、し、こ」だから、ええと、「あ」が「な、や、わ、た、ら、た」で6つ、「い」が「し」で1つ、「う」が1つ、「え」が「け」1つ、「お」が「も、こ、と、こ、こ」で5つだから、、分かりました。

    第5問:答は3)あお

    歌樽先生:この「あお」がヒントです。

    詩子アナ:「つばめ」という語がタイトルには付いていないんですね。

    歌樽先生:タイトルに燕のあるものは「燕の歌」だけですね。それから、「ヰリアム・シェイクスピア」さんの「花くらべ」が「燕も来ぬに水仙花、」で始まっていますね。

    詩子アナ:ということは、「つばめ」ではないが、意味が大切ということですかね。

    歌樽先生:ちなみに、この歌は当時とても有名で、こんなふうに理解されていたようです。

    새 새끼마저 제 깃이 그립다거던
    하물며 푸른 하늘, 고국땅이여
    내가 자라난 마을 파라타이스。

    『(増補版)素月詩鑑賞』張萬榮・朴木月(博英社)1957(p77-78)

    詩子アナ:じゃあ、これを訳せばわかりますね。大ヒント、いただきました!

    「푸른 하늘:青い空」、さっきのヒントの「あお」つまり「青空」があるのを探せば正解が目に見えているようですね。「3行詩、青空」で完璧です。

    歌樽先生:では、正解を。

    詩子アナ:ええと、少し、お時間を。

    第4問:「故国」です。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#140

    歌樽先生:正解です。

    詩子アナ:時間はかかりましたが、正解と聞いて、安心しました。読んでみます。

    [ここく]
    故国
    [ことり         す  こひ]
    小鳥でさえも巣は恋し、
    [          あをそら    くに]
    まして青空、わが国よ、
    [                 さと  パライソウ]
    うまれの里の波羅葦増雲
    (オオバネル)

    歌樽先生:「波羅葦増雲」というのは「パラダイス」です。

    詩子アナ:さっきの韓国語訳にあった「파라타이스」と同じですね。

    歌樽先生:そうですね。

    詩子アナ:でも、このオオバネルの「故国」と素月の「つばめ」がどういう関係にあるのですか。

    歌樽先生:それをじっくり考えていこうという訳です。

    詩子アナ:金素月はこの詩を知っていたのですか。

    歌樽先生:知っていたというより、研究したのだと思いますね。そうでないと「제비:つばめ」という詩は出来ていなかったでしょうからね。

    詩子アナ:そんなことが分かるんですか。

    歌樽先生:3行詩といえども侮れませんよ。

    第6問:なぜパラダイスを「波羅葦増雲」と訳したのでしょうか。

    詩子アナ:ヒントは?

    歌樽先生:ありません。

  • 紙上中継 ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第3

     

    詩子アナ:詩訳ではありません。意味だけ一語、一語訳してみます。

    하늘로 날아다니는 제비의 몸으로도

    空を飛びまわるツバメの体でも

    一定 깃을 두고 돌아오거든 !

    一定の敷き藁を置き帰ってくるんだ!

    어찌 섧지 않으랴, 집도 없는 몸이야 !

    どうして悲しくないだろうか、家もない体なんだ!

    歌樽先生:意味は抑えられたようですね。

    詩子アナ:詩になってなくて、すみません。

    歌樽先生:いえいえ、これからですから、大丈夫ですよ。では、この詩の内容に似ている詩をさきほどの『海潮音』から探してみましょう。

    詩子アナ:短い歌から探してみます。

    歌樽先生:なるほど。なかなかいい方法ですね。

    詩子アナ:先生、今日は誉めすぎじゃありませんか。なにか気になりますが。

    歌樽先生:この詩は何か気になるところがあると感じるところから出発する必要がありますから、なにか気になるというのはとてもいい出だしですよ。

    詩子アナ:やっぱり何かあるんですね。2ページ以内と思われるものを目次から挙げてみます。

    「わすれなぐさ」(p108)「山のあなた」(p109)「春」(p111)「秋」(p113)「わかれ」(p115)「水無月」(p117)「花のをとめ」(p119)「春の朝」(p132)「法の夕」(p163)「白楊」(p240)「故国」(p241)「海のあなたの」(p242)「解悟」(p242)「篠懸(すゞかけ)」(p244)「海光」(p246)

    なやもけわこたとらこうたしこ

    歌樽先生:2ページ以上のものが入っていますよ。

    詩子アナ:もう一度チェックしてみます。後ろの詩のページの差が2ページ以内で探したのですが、こうなると一つ一つ調べてみるしかありませんね。

    歌樽先生:目次と詩の内容を比べてチェックしながら見るといいですね。

    詩子アナ:あの、違ってました。これ「法(のり)の夕(ゆふべ)」と読むのですか、知りませんでした。後ろの詩の「水(みづ)かひば」は168ページでした。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#101

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#104

    「海のあなた」はなくても「海のあなたに」という詩はあったんですね。

    歌樽先生:詩子さんもこの詩を読んでいれば昭和の国民の常識に近づけたかもそれませんね。

    詩子アナ:それが、さっきの「山のあなた」ですか。

    歌樽先生:その通りです。お母さんかお父さんに訊いてごらんなさい。「やまのあなたのそらとおく」と言えば、すぐに「さいわいすむとひとのいう」と言ってくれると思いますよ。訳詩では「幸」を括弧でくくって「さいはい」とルビを振ってあります。「いう」も昔の訳ですから「いふ」となっています。これで、比べるもののリストができましたから、読んでいきましょう。

    詩子アナ:そうすれば「つばめ」と似た詩を探せるわけですね。

    歌樽先生:そういうことです。

    詩子アナ:ああ、大変だ。

    歌樽先生:大変なことは何もありません。まだ「つばめ」の入り口にも入っていないんですから。

    詩子アナ:あー、一取られてしまった!

    歌樽先生:このあたりでうろうろしていては先に進めませんので、第4問はあとにしましょう。

    第5問:対象になった詩の14の訳詩の一文字目の初めの音の母音を多い順に並べると上位2つの並び方は次のうちのどれでしょうか。

    1)あい  2)うえ  3)あお  4)おい

  • 紙上中継 ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第2回

     

    詩子アナ:まず、詩の紹介を御願いします。

    歌樽先生:短い詩です。タイトルは「제비:つばめ」です。

     

    하늘로 날아다니는 제비의 몸으로도

    一定 깃을 두고 돌아오거든 !

    어찌 섧지 않으랴, 집도 없는 몸이야 !

     

    詩子アナ:これは短い詩のようですが、何か深い意味があるのですか。

    歌樽先生:いかに深い詩かということはだんだん分かっていくでしょう。しっかり学べばね。

    詩子アナ:はい、しっかり学びます。

    歌樽先生:では、まず『海潮音』という詩集からこの歌とよく似た詩を探しなさい。

    詩子アナ:あの、ちょっとレベルが高すぎるのですが、もっとゆっくりやっていただけると番組的にもありがたいのですが。

    歌樽先生:なるほど、番組的にといわれると、私もすみませんというしかありませんね。

    詩子アナ:いえいえ、そういうつもりではありませんので、あの、すこしお手柔らかくという感じで。

    歌樽先生:では、初めからゆっくりということで、やさしい問題を出しましょう。

    第2問:『海潮音』は西欧の詩人の詩を訳した詩集ですが、誰が訳したでしょうか。

    1)高村光太郎  2)上田敏  3)堀口大学  4)北原白秋

    詩子アナ『海潮音』、『海潮音』、ありました。スマホで調べました。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#4

    第2問:答は2)上田敏です。

    歌樽先生:では、上田敏の翻訳した詩に関するものです。

    第3問:上田敏訳の有名な詩を次の中から選んでみましょう。

    1)山のあなた  2)海のあなた  3)空のあなた  4)雲のあなた

    詩子アナ:えー、あなた、あなた、ありました。目次の最後の行にありました。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#16

    第3問:答は1)山のあなた、です。

    歌樽先生:調べてでてくるものは、それが正しければ正しい分だけわかりますね。

    詩の内容は知っていますか。

    詩子アナ:知りません。

    歌樽先生:では、どんな詩か調べてみましょう。

    詩子アナ:はい、ありました。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#74

    歌樽先生:「山のあなた」は覚えてもらうことにして、次に行きましょう。

    第4問:この『海潮音』の詩集のなかで、金素月の「つばめ」と似ている詩をさがしましょう。

    詩子アナ:えー、ありました。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#15

    第4問:1ページの「燕の歌」

    歌樽先生:残念でした。違います。

    詩子アナ:では、159ページの「鷺の歌」。

    http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#18

    歌樽先生:残念でした。違います。詩のタイトルだけではわかりません。詩を読んでいかないとだめですね。

    詩子アナ:分かりました。少し時間をいただければ、探します。

    歌樽先生:では、捜す前に、「제비:つばめ」という詩のおよその内容をまず押さえておきましょう。

    ということで、まず、直訳でいいですから、「제비:つばめ」を訳してみましょう。

    詩子アナ:わかりました。およそということで、やってみます。

     

  • 紙上中継 ハングルの詩のある風景:제비 つばめ 第1回

     

    詩子アナ:今回は川辺であればどこでもいいということで、こんなところに来ています。

    早速、歌樽先生に伺ってみましょう。今回の詩のキーとなるハングルはずばり、何でしょうか。

    歌樽先生:ずばーり、、、難しいですね。実は同じ題の詩が二つあるんです。

    詩子アナ:同じ第が2つということは、全部で4つということですか。

    歌樽先生:なるほど、そういう数え方も確かにありますね。これは一本とられました。

    詩子アナ:ヤッター!じゃあ、同じ題のものが一組といっていいかどうかはわかりませんが、ともかくワンセットあるということのようですね。今日は初めからなかなか出出しからいい調子、いい調子。

    歌樽先生:まあ、こういうのを調子に乗るということなんでしょうね。

    詩子アナ:じゃ、ワンセットではないということなんですね。

    歌樽先生:そもそも、セットという概念ではないんです。それぞれ別々に作っていますから。

    詩子アナ:全く別々なんですか?

    歌樽先生:全く別々かといわれると、詩は詩ですし、共通点がなしという訳ではありませんから、そこはなんともいえません。

    詩子アナ:歌樽先生が困っている様子をみなさんご覧になっていまーす。

    歌樽先生:では、このへんで何か問題を出しておきましょう。

    第1問:金素月の詩で「제비:つばめ」という同じタイトルを持つ詩が2つありますが、他にも同じタイトルの詩があります。そのタイトルは次の内どれでしょうか。

    1)無題  2)有題  3)失題  4)兼題

    詩子アナ:「兼題」は確か俳句で聞いたことがあるような気がします。

    歌樽先生:句会に行ったことがあるようですね。

    詩子アナ:いえいえ、行った事はありません。聞いたことがあるだけですが、兼題で2つ詩を作ることはない気がします。

    歌樽先生:では、3つに絞られましたね。

    詩子アナ:2)の有題というのは題があるわけですから、あればその題を書けばいい訳ですから、答は1)無題か、3)失題とこんな感じでしょうか。

    歌樽先生:推理力が一段と冴え渡っていますね。

    詩子アナ:ヤッター!そんなに誉められると、もう有頂天になりますから、困ります。

    歌樽先生:ちっとも困っていないように見うけられますよ。では、どちらかに決めましょう。

    詩子アナ:無題という題を付けると、それも題ですから、少なくとも無題ではないということで排除すると、3番の「失題」だと思いますが、いかがでしょうか。

    歌樽先生:無敵ですね。

    第1問:正解は3)失題です。

    詩子アナ:それはどんな詩ですか。

    歌樽先生:一つのほうは易しくて、いいのですが、もう一つは理解するのがとても難しい詩です。

    詩子アナ:では、易しいほうを少しだけ紹介してください。

    歌樽先生:では、少しだけということで。タイトルは「失題」と漢字で書かれています。

    동무들 보십시오 해가 집니다  みんなごらんよ

    해지고 오늘날은 가노랍나다   めば 今日とはおれさ

    웃옷을 잽시빨리 입으십시오   羽織って さあ

    우리도 산마루로 올라갑니다   らもお ろうよ

    詩子アナ:はい、分かりました。こんな感じということで、理解したことにして、今回扱う「つばめ」という詩のキーとなる部分を「ずばーり」指摘してください。ではお願いします。

    歌樽先生:「몸」でしょうかね。

    詩子アナ:ずばーり、「몸」、いただきました!さて、今回の詩のキーハングル「몸:体」の入った詩とはどんな詩でしょうか。

  • 紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景: 산유화 山有花 第18回 

    詩子アナ:頭音は全て「산」、脚音は全て「네」ですから、いずれも1種4同です。なるほど、改行をどこでしても韻を踏む形になっているんですね。手品のようですね。これが「改行の名手」であり、かつ「改行の魔術師」といわれる所以ですか、驚きました。

    歌樽先生:では、驚いたところで、「オンマヤヌナヤ」との共通点を考えてみましょう。

    詩子アナ「オンマヤヌナヤ」(第15回)で「フラクタル」のお話がありましたが、今回も関連があるのですか。

    歌樽先生:ええ、もちろんありますね。「オンマヤヌナヤ」(第2回)がサンドイッチタイプの詩だといいましたが、「山有花」も大きくみれば、サンドイッチタイプの詩といえるでしょう。

    詩子アナ:第1連と第4連がサンドイッチの外側で、第2連と第3連を挟んでいる訳ですね。だんだん分かってきました。

    歌樽先生:「フラクタル」に気づいたり、サンドイッチの構造をすぐに理解したり、なかなか素晴らしいですね。

    詩子アナ:そんなに誉めてくださっても、いい訳詩ができる力は持ち合わせていませんよ。

    歌樽先生:いえいえ、そう謙遜しなくてもいいですよ。「オンマヤヌナヤ」の詩碑の写真が届きました。この写真の手前に漢川(한천)が流れています。

    kanewaka018a「オンマヤヌナヤ」詩碑(醴泉 漢川辺)

    kanewaka018bスンデタウン(新林駅)

    詩子アナ:そろそろお腹がすいてきましたが。

    歌樽先生:近くにスンデタウンと呼ばれているところがあるんです。そこに行ってみましょう。

    http://bass007.tistory.com/661

    詩子アナ:スンデがお好きなようですね。

    歌樽先生:「オンマヤヌナヤ」の詩碑を見て、スンデを思い出しました。建物全体がスンデのお店という、韓国でもそうそうないスンデタウンですよ。

    詩子アナ:「オンマヤヌナヤ」と「山有花」がどうして「スンデ」でつながっているのですか。

    歌樽先生:それを問題にしたいぐらいですね。では、こんな問題でどうでしょうか。

    第33問:「オンマヤヌナヤ」と「山有花」と「スンデ」のかかわりを述べなさい。

    詩子アナ:答がありそうにありませんが。ヒントを御願いします。

    歌樽先生:ヒントは詩の中にありますね。

    詩子アナ:「엄마야 누나야 강변 살자」と「산에는 꽃 피네 꽃이 피네」でしょ。降参です。

    歌樽先生:「강변 살자」は正解ですね。

    詩子アナ:「川辺に住もうよ」ですか。「山有花」は「산에서 사노라네」だから、「住むんだよ」といった感じなので、あっ!分かりました!

    第33問:答、「スンデ」を「住んで」に掛けているから。

    歌樽先生:大正解、ということで、訳詩には期待していますよ。

    詩子アナ:今回は訳詩のお話はもう済んでいたのかと思って、安心していましたが。

    歌樽先生:私も「すんで」のところで訳詩の話をするのを忘れるところでした。いろんな方がすでに詩を訳していらっしゃいますから、参考になりますよ。もちろん、独自の訳を試みるのもいいでしょう。

    詩子アナ:キーハングル「 여름 없이」をしっかり踏まえて訳詩してみます。

  • 紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景: 산유화 山有花 第17回

     

    詩子アナ:「縮約」のお話は以前「オンマヤヌナヤ」で伺ったような気がします。

    歌樽先生:そうでしたね。「갈잎」は「갈댓잎:葦の葉」を縮約したものでしたね。

    詩子アナ:「山有花」の「갈」は「가을:秋」を縮約した形でますが、「가을」でも「갈」でも頭音はどちらも「가」ですから、韻を踏むという点では変わりありませんから、「b)の縮約は関係がないのであーる」と見ましたが、いかがでしょうか。

    歌樽先生:久しぶりに「であーる」が出てきましたね。

    詩子アナ:ここまでの推測は当たっているようですね。次に五行については「山有花」だけではないようですから、「d)の五行は無関係であーる」と見ました。

    歌樽先生:これで心象と改行が残りましたね。

    詩子アナ:心象はいわばイメージですから、これもこの「山有花」だけには限りませんから、、

    第32問:答はa)改行の名手であーる。

    歌樽先生:やっと正解に辿りついたようですね。

    詩子アナ:そういえば、詩全体が山に見えるのですから、これだけで改行に気づくべきでしたね。

    歌樽先生:いえいえ、なかなかするどい推理でしたよ。素月のすごいところは、「改行の名手」でありながら、同時に「改行の魔術師」でもあったんです。

    詩子アナ:「改行の名手」と「改行の魔術師」とはどのように違うのですか。

    歌樽先生:「改行の名手」とは改行の技のすばらしさをいったものですが、「改行の魔術師」というのは、マジックのレベルにまで達しているといっていいでしょう。

    詩子アナ:では、「改行マジシャン」という訳ですか。

    歌樽先生:なるほど、面白い言い方ですが、当たっていますね。

    詩子アナ:何がマジックになっているのですか。

    歌樽先生:こんな風にあっちもこっちも改行して、16行の詩になっていますが、この詩全体では8行

    の詩にも、4行詩にもなっているのです。

    詩子アナ:4行詩と8行詩ですか。16行なのに?

    歌樽先生:そこが素月のすごいところですね。4連の詩をそれぞれまず2行で書いてみましょう。

    詩子アナ:わかりました。

    산에는 피네 꽃이 피네
    여름 없이 꽃이 피네. 

    산에 산에 피는 꽃은
    저만치 혼자서 피어 있네. 

    산에서 우는 작은 새요
    꽃이 좋아 산에서 사노라네. 

    산에는 지네 꽃이 지네
    여름 없이 꽃이 지네.

    歌樽先生:各連の1行目と2行目の頭音と脚音を調べてみましょう。

    詩子アナ:1行目は同じですが、2行目は頭音が変化しているのに、2種3同で五行の季節は変わらず、脚音は全て夏ですから、頭音も脚音も1種4同か2種3同となっていて韻が揃っています。

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    歌樽先生:では、4行詩と見た場合はどうなりますか。

    詩子アナ:上の8行を4行にすればいいんですね。やってみます。

     

  • 紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景:산유화 山有花 第16回

     

    歌樽先生:では、原本をみてみましょう。

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    『진달래꽃』金廷湜 賣文社1939

    詩子アナ:第1行目は6文字で、助詞の「이」はありませんね。ということは南山の詩碑の方が正しいんですね。

    歌樽先生:助詞についてはそのうち誰かが気づくでしょう。では、問題です。

    第31問:もし、助詞の「」を入れていたとしたら、その表記はどうなっていたでしょうか。

    詩子アナ:この写真のような書き方は不慣れでなのですが、第2行目が「꽃이 피네」の部分のようですから、

    第31問:助詞の「이」が入っていれば「치」です。

    歌樽先生:ハングルの表記法が確立する前ですので、いろいろと書き方を工夫していたようですね。「꽃이 피네」の部分は、まず初声が「ㅺ」、中声は「ㅗ」、パッチムは「ㅅ」で、これに「치픠네」が続いています。助詞の「이」がパッチム「ㅊ」と一緒になって、2行目、4行目、10行目、14行目、16行目では「치」となっていますね。

    詩子アナ:9行目の「적은 새요」のままでは「少ない鳥」になっしまいますが。

    歌樽先生:素月の住んでいた地方の方言では「작은:小さい 」を「적은」と言ってもおかしくないという話を定州に住んでいたおじいさんから聞いたことがあります。素月の詩には方言のまま書かれているものがいくつかあるようですね。

    では、ここで、各連の頭音と脚音を五行の季節で表してみましょう。

    詩子アナ:はい。「새여」は「새요」、「좋아」は「죠와」となっていますので、ここでは「요」「와」としてみました。

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    歌樽先生:なかなかすっきりしていますね。

    詩子アナ:すっきりしているということは素月が韻を踏んでいるということでしょうか。

    歌樽先生:もちろんそういうことになりますね。

    第32問:「山有花」で韻を踏むことと最も関係の深いのは次のどれでしょうか。

    1. a) 改行の名手 b) 縮約の名手 c) 心象の名手 d) 五行の名手