• ハングルの詩のある風景: 素月と凧揚げ 第10回

    詩子アナ:漢字表記も入っているんですね。4行詩の中に4つの漢字熟語があるというのは、素月の詩としては少し多いような気がしますが。これも連想と関連がありますか。

    歌樽先生:すべてが関連があります。ずいぶん遠回りをしましたが、これで準備ができたようです。まず、第1段階として、「네 길거리:四辻、十字路」との関連を考えてみましょう。

    詩子アナ:第1段階ということは、何段階かあるんですね。

    歌樽先生:そうですね。第一段階と言ってもいいし、線・面・立体という視点からすると、まずは線から考えようということなんですが、この辺りが難しいところなんです。

    詩子アナ:分かりました。覚悟します。

    歌樽先生:では、線をポイントにして考えてみましょう。

    14問:「네 길거리」と関連のあるものを探してみましょう。

    詩子アナ:「네 길거리:四辻、十字路」との関連ということで、線がクロスしているところに着目して、漢字の字画に「十」またはそれに似たものを探してみます。

    では、詩をもう一度見てみます。

    지연(紙鳶) 漢字
    午后의 네 길거리 해가 들었다. 午后(오후)
    市井의 첫겨울의 寂寞함이여,市井(시정) 寂寞(적막)
    우둑히 문어귀에 혼자 섰으면,
    흰 눈의 잎사귀, 紙鳶이 뜬다.  紙鳶(지연)

    14問:「午后」の「午」、「市井」の「市」は縦横がクロスして、「十」の形になっています。「寂」や「紙」には「十」があるといえばあるし、無理だと言われれば無理のような気もします。少し不安なところもあるのですが。

    歌樽先生:なかなか鋭いところを探し出しましたね。確かに、「紙」の右側の「氏」の三画目と四画目は四辻のように見えますね。「鳶」の「弋(しきがまえ):ヨク」も見方によっては四辻と言えますね。

    詩子アナ:先生にもそう見えますか。良かった!

    歌樽先生:実は、紙には異体字があるのです。

    詩子アナ:異体字というのは、同じ意味の別の漢字ですか。

    歌樽先生:そうです。「紙」は「帋」で「氏+巾」の形です。漢字だけでなく仮名の場合も標準字体以外のものを指します。

    詩子アナ:「帋」の文字に「巾」が入っていますね。「寂」にも異体字があるのですか。

    歌樽先生:探せばいろいろと出てきますよ。ウ冠の下の「叔」の字には右のような異体字が使われています。

    詩子アナ:では「紙」にも「寂」にも「十」が使われている訳ですね。これで「四辻」になりますね。あの、「凧」という文字にも四辻がありますね。

    歌樽先生:「凧」は国字ですね。実は「辻」も国字で、日本で作られた漢字ですね。見方にもよりますが、漢字ですから、縦棒と横棒が交わっていれば「十」の字になるものが多いのは事実ですね。

    詩子アナ:はあ、なるほど、そういうことですか。「네 길거리:四辻」が「凧」の縦横の竹ひごに現れていますね。縦横とたすき掛けのダブル四辻ですね。それに、ハングルは縦線、横線、丸で作られていますが、線がぶつかっている形はあっても、縦線と横線が交差する文字の形はありませんね。

    歌樽先生:では、次に進みましょう。

    詩子アナ:線の後は面ですね。

  • ハングルの詩のある風景: 素月と凧揚げ 第9回

    歌樽先生:なかなか良い推理ですね。では、「방패연」の構造を見ておきましょう。

    詩子アナ:人体の名称がいろいろなところに使われていますね。「귀:耳、머리:頭、 허리:腰、목:首」。分かりました。

    12問:人体の部位と同じ名称は、1) の귀( 耳 )です。食パンの耳とよく似た言い方ですね。凧の真ん中の穴は何ですか。それから「門」の文字の凧は何と言いうのですか。

    歌樽先生:真ん中の穴は「방구멍」、「門」の字を書いた凧は「字凧」の一つで「문자연:門字鳶」といいます。

    13問:では、この真ん中の穴の役割は次の内どれでしょうか。

    1)凧糸をしっかり取り付けるため    2)風の強弱に合わせて凧の姿勢を調節するため

    3)凧の重さを少しでも軽減するため   4)風がいくら弱くても凧を上昇させるため 

    詩子アナ:役割があって凧の真ん中を空けてあるんですね。

    歌樽先生:中央に穴が空いている四角い凧を「방구멍연(穴あき凧)」と呼ぶこともあります。

    詩子アナ:それだけ「穴」の役割が大きいということなんでしょうね。1)の凧糸の取り付けは、穴のあるなしに関係なくできますし、穴を空けたところの紙の部分だけでは、3)の重さの軽減にはならないでしょうから、2)か4)だと思います。副詞があるのは要注意という経験からいえば、答がでてきます。ということで、

    13問:答は、2)風の強弱に合わせて凧の姿勢を調節するため、です。

    歌樽先生:正解です。子供用の凧作りの動画を見ておきましょう。

    詩子アナ:今回はキーとなるハングルを「네 길거리」と「혼자 섰으면」の二ついただきましたが、これは「네 길거리」と「혼자 섰으면」が深い関係にあるということでしょうか?

    歌樽先生:関係があるといえば全て関係がありますね。

    詩子アナ:関係があるのは音韻とか意味とかでしょうか。     

    歌樽先生:音韻と意味だけでなく、今回は連想という要素についても考えてみましょう。

    詩子アナ:連想というと連想ゲームのようなものですか。

    歌樽先生:ゲームではありませんが、イメージや音や形、意味、漢字表記などの何らかの類似性を連想といっていいでしょう。

  • ハングルの詩のある風景: 素月と凧揚げ 第8回

    詩子アナ:どれも魚の名前のようですね。

    歌樽先生:よく分かりましたね。1)광어「ヒラメ」、2)가자미は「カレイ」、3)홍어は「ガンギエイ」、4)가오리は「エイ」です。

    詩子アナ:「左ヒラメに、右カレイ」でしたっけ?

    歌樽先生:そう言われていますね。ヒラメとカレイは形がよく似ていますから、見分けるために誰かが考え出したんでしょう。例外もあるようですが、ずいぶん有名な言葉になりましたね。

    詩子アナ: 「홍어(ガンギエイ)」と「가오리(エイ)」はどちらも「エイ」のようですが、こちらも似ているのですか。

    歌樽先生:よく似ています。「홍어」の方が「가오리」よりも値が張るようです。

    詩子アナ:では、気合を少し入れて!

    歌樽先生:「홍어」ですか。

    詩子アナ:いえ、気合を入れつつ、入れ過ぎないように。

    10問:答は、4)の가오리연、ということでお願いします。「カオリ」という名前の駅があったようですし、それに「カオリ」の音の響きがいいので。

    歌樽先生:そういえば、詩子さんのお友達に香織さんがいますね。

    詩子アナ:ええ、元気いっぱいのお友達です。香織さんだけでなく、沙織さんも詩織さんもいますが。

    歌樽先生:折々に、紹介などしていただくことにして、「가오리연」、正解です。

    11問:では、四角い形の凧を何と呼ぶでしょうか。

     1) 방패연   2)네모연 3)사각연 4)방형연

    詩子アナ:漢字で書けるものがありますか。

    歌樽先生:1)は「防牌鳶」、2)は漢字はありませんが「4つの角の鳶」、3)は「四角鳶」、4)は「方形鳶」、こんな感じですが。

    詩子アナ:こちらも何か生き物の名前かと思っていましたが、全て四角関連の名前ですね。

    歌樽先生:全てと言われても困りますが。正解は一つですので。

    詩子アナ:はい。分かりました。

     11問:答は、1)방패연(防牌鳶)です。

    歌樽先生:正解です。「방패」というのは「盾(たて)」のことです。

    12問:뱡패연の構造ですが、各部位に人体の名称が付けられているものがいくつかあります。では、凧の部位の名称で実際に使われているのは次の内どれでしょうか。

    1) 귀( 耳 )  2) 팔( 腕 )  3) 눈( 目 )   4) 배( 腹 ) 

    詩子アナ:四角い形ですから、「팔(腕)」や「 눈( 目 )」ではないように思えます。

  • ハングルの詩のある風景: 素月と凧揚 第7回                     

    詩子アナ:羽子板は中央の両端に、羽根は空の中ほどにたしかにありますね。「凧揚げ」と「羽根突き」ですから、童謡の「お正月」の歌詞と全く同じですね。

    歌樽先生:遠くに富士山、手前に門松、江戸城のお堀には水鳥も描かれていますね。

    詩子アナ:池のように見えるのは江戸城のお堀ですか。なるほど、立派な石垣もありますね。

    詩子アナ:韓国にも「お正月」や「凧揚げ」の歌がありますか。

    歌樽先生:「お正月」の歌で最も有名なのは「까치까치 설날은」で始まる「설날」という歌です。

    까치까치 설날은 – 윤극영 작요 작곡/김치경 노래 – Bing video

    詩子アナ:童謡のなかの童謡という感じの歌ですね。金素月はこの歌を歌っていたのですか。

    歌樽先生:この歌は1924年に尹克榮が作詞・作曲したもので、素月は1902年生まれですから、子供の頃にはこの歌はありませんでした。

    詩子アナ:凧揚げの歌はどうですか。

    歌樽先生: 1989年に創作童謡大賞に「연 날리기(凧揚げ)」が選ばれてから、この歌がよく歌われていますね。では、聴いてみましょう。

    연 날리기 – 권연순 작사 한수성 작곡 안선호 고유정 노래 – Bing video

    詩子アナ:明るく元気に凧揚げしている様子がよく出ている歌ですね。これも新しい歌ですから、素月の時代にはなかったんですね。上の浮世絵では奴凧の足が覗いていますが、素月は当時、どんな形の凧を揚げたのですか。

    歌樽先生:当時の凧は四角い形の凧と菱形の凧が代表的なものです。

    10問:菱形の形の凧を何と呼ぶでしょうか。

    1) 광어연    2)가자미연 3)홍어연 4)가오리연

  • ハングルの詩のある風景: 素月と凧揚げ 第6回                      

    詩子アナ:凧揚げはこうした年中行事と共に行われていたんですね。

    歌樽先生:そうですね。日本でも凧は「新年」や「春」の季語としても用いられていますよ。

    詩子アナ:どんな俳句ですか。

    歌樽先生:では、こんな問題を出してみましょう。

    第9問:次の句の中で最も古い句はどれでしょう。

    1) 凧上(あげ)てゆるりとしたる小村哉(かな)  2) 小き子の小き凧を揚げて居る

    3) 白紙(しらかみ)の小ひさき凧を上げてゐる  4) 凧ひとつ浮ぶ小さな村の上

    詩子アナ:どれも「小さい」という意味の語が用いられていますね。

    歌樽先生:正岡子規や小林一茶は凧の句を山ほど詠んでいて、選ぶのが難しいんですが、ここでは「小」の字の付いたものを選んでみました。

    詩子アナ:「凧揚げ」が生活の中にしっかり根付いていたんですね。

    歌樽先生:そうですね。新年の句としてよく出てきますね。

    詩子アナ: お正月の句と考えると、句のイメージがずっと具体的になってきました。

    歌樽先生:それはいいことですね。理解が深まっている証拠です。

    詩子アナ:理解が深まっているかどうか分かりませんが、

    第9問:答は、1)の「凧上(あげ)てゆるりとしたる小村哉(かな)」です。

    歌樽先生:正解です。1)は小林一茶 (1763-1827)、2)は正岡子規(1867-1902)、3)は原田浜人(1884-1972)、4)は飯田龍太(1920-2007)の句です。

    詩子アナ:イメージがどこか素月の詩の「紙鳶」と繋がっているような気もしますが。これは「凧」の持つイメージがそのような感じを持たせるのでしょうか?

    歌樽先生:凧の句の全てがそうだとは言えませんね。切り取った風景や凧に持たせるイメージの違いによって違った句になりますから。

    詩子アナ:1)と4)は「村」に、2)と3)は凧揚げしている人に焦点が当てられているように感じます。

    歌樽先生:一茶の別の句ですが、「凧(たこ)抱いたなりですやすや寝たりけり」「凧(いかのぼり)青葉を出(いで)つ入(いり)つ哉(かな)」、子規の「子を抱いて巨燵(こたつ)に凧を揚げる人」「風に乗る姿は軽(かろ)し鳳巾(いかのぼり)」などは上の4つの句とは全く違ったイメージの句になっていますね。

    詩子アナ:素月の「紙鳶」もイメージの把握が大切だということのようですね。

    歌樽先生:「紙鳶」だけでなく、その詩の姿がそこに見えますからね。

    詩子アナ:一見、淡い風景画のような詩に見えるのですが、そうではないのですか。

    歌樽先生:そのあたりは後でゆっくり見ていきましょう。

    詩子アナ:そういえば、「お正月には凧あげてこまをまわして遊びましょう」という童謡もあまり聴かなくなりましたね。

    歌樽先生:では、久しぶりに聴いてみましょう。東(ひがし)くめ作詞、滝廉太郎作曲、明治34年(1901)発表の歌、「お正月」です。

    1)もういくつねると お正月    お正月には 凧あげて

    コマを回して遊びましょう   早くはやく来い来いお正月がつ

    2)もういくつねると お正月    お正月しょうがつには まりついて

    おいばねついて 遊びましょう  早く来い来い お正月

    童謡・唱歌 ― お正月 ― 全11曲 – Bing video

    詩子アナ:羽根つきのことを「追羽根(おいばね)」といっていたんですね。

    歌樽先生:そうですね。当時のお正月の代表的なものといえば、男の子の遊びの「独楽(こま)回し」と「凧揚げ」、女の子の遊びの「鞠(まり)突き」と「羽子(はね)突き」でしたね。独楽は手に載せたり、ぶつけ合ったりして遊んでいましたね。広重の浮世絵のa)(第3回)をよく見ると、「羽根突き」の羽子板と羽根が描かれていますよ。

    詩子アナ:そうですか。気が付きませんでした。

    歌樽先生:では、少し大きくしてもう一度見てみましょう。

  • ハングルと詩のある風景: 素月と凧揚げ 第5回

    詩子アナ:参考になる絵か写真のようなものがあればうれしいのですが。

    歌樽先生:では、日本の喧嘩凧祭りの様子を見ておきましょう。

    詩子アナ:これは大変なお祭りですね。相手に糸を切られないようにしなくてはいけませんね。

    第7問:答は3)切れにくさ、です。

    歌樽先生:正解です。切れると凧が落ちるか、飛んで行ってしまいますからね。切れにくくしたり、相手の凧糸を切るために糸にガラスや剃刀の刃のようなものを膠(にかわ)で塗り付けることもあったようですが、最近は鉄粉を糸に塗り付ける方法も取られているようです。

    詩子アナ:凧を揚げるというのは大変なことなんですね。

    歌樽先生:「けんか凧」は「끊어먹기:凧糸切り」というのですが、喧嘩凧は特に大変ですね。

    詩子アナ:ほかに凧揚げについて何か書かれていますか。

    歌樽先生:厄除けのための凧揚げ行事の説明があります。

    第8問:では、この行事は陰暦の何月に行われるでしょうか。

    1)1月  2)2月  3)3月  4)4月

    詩子アナ:陰暦の1月にする行事はたくさんありますね。

    歌樽先生:1月は特に多いですね。旧正月を祝うだけでなく、15日は「대보름(大満月)」ですから、「지신밟기(地神踏み)」「달맞(月見)」「다리밟이(橋踏み)」など行事満載です。

    詩子アナ:先ほどの凧揚げの民俗画では雪が降っている景色が多かったので、1月か2月なんだと思いますが、毎月のように行事があるのですか。

    歌樽先生:そうですね。陰暦で行われるのですが、年中行事ですから、毎月のように何かしらありますね。

    詩子アナ:では、1月に追加ということで、

    第8問:答は1)の1月です。「쥐불놀이(ネズミ追い火)」もこの頃ですし。空き缶に穴を開けて、中に火を入れて、ぐるぐる回すのをよく見ましたし。

    歌樽先生:正解です。「쥐불놀이(ネズミ追い火)」の様子と凧の厄除けの文字もみておきましょう。

    https://www.culturecontent.com/content/contentView.do?content_id=cp020501100001&print=Y
    https://ameblo.jp/seoultour/entry-11172054889.html

    詩子アナ:凧の厄除け文字は「送厄迎福」と書くんですね。どう読むのですか。

    歌樽先生:「송액영복」と読みます。「재액소멸(災厄消滅)」と書くこともあります。

    詩子アナ:「쥐불놀이(ネズミ追い火)」で使う空き缶は昔からあったのですか。

    歌樽先生:昔はありませんでした。米軍経由のもので、朝鮮戦争(1950-1953)の後からのようですから、素月の時代は空き缶を使うことはなかったようですね。以前は旧暦のお正月の最初の「子(ね)」に当たる日にネズミを追い払うために田畑のあぜ道に火をつける民俗行事の一つでした。その後、陰暦の1月15日にすることが多くなったようです。

  • ハングルの詩のある風景: 素月と凧揚げ 第4回

    詩子アナ:満年齢ですか、数え年ですか。

    歌樽先生:当時も今も年齢は数え年が普通ですね。

    詩子アナ:小学校に入る頃には凧揚げをやっているでしょうから、、、

    第4問:答は2)の5歳~7歳、です。

    歌樽先生:残念でした。

    詩子アナ:残念ですか。では、、、

    第4問:答えは4)の10歳以上です。

    歌樽先生:残念でした。

    詩子アナ:残念!では、、、

    詩子アナ:残念さは変わりませんが、かしこまりました。最後の選択肢で、

    第4問答えは3)の8歳~9歳、です。

    歌樽先生:残念でした。選択肢が一つ残っていますが。

    第4問:答えは1)4歳以下、です。

    数え年で4歳は満では3歳ということですから、これは初めから選択肢からは外していました。満3歳で凧揚げとは驚きです。

    歌樽先生:素月の叔母の桂熙永著の『私の育てた素月』(章文閣 1969)に書かれていますね。

    詩子アナ:どんな風に書かれているのですか。

    歌樽先生:「素月はこうして4歳の時から凧を揚げ、誰よりも凧を高く揚げた」(P40)

    詩子アナ:数えの4歳は満では3歳ですね。3歳の子が一人で凧を揚げるのは大変だったでしょうね。

    歌樽先生:凧揚げをかなり力を入れて習ったようなのですが、そのあたりを見ていきましょう。

    第5問:素月は誰から凧揚げを習ったでしょうか。

    1)父親  2)兄  3)祖父  4)祖母

    詩子アナ:凧揚げは習わなくても、やっているうちにできるようになるとは思いますが、幼いですから、誰かから教わった方が安心ですね。

    第5問:答えは、3)の祖父、です。

    歌樽先生:正解です。ちなみに素月は長男ですから、お兄さんはいません。

    詩子アナ:お祖母さんが教えることはないでしょうし、お父さんは病気がちだったようですから。

    歌樽先生:推理力が戻ってきましたね。

    詩子アナ:まだまだです。力を入れて習ったというのは、ただならぬ感じがしますが。

    歌樽先生:それには糸が関連しているようですね。凧糸を引いたり緩めたりと、力の入れ方が大切ですからね。『私の育てた素月』に祖父が凧揚げを素月に教えたこと、そして、凧糸がとても貴重だったことが書かれています。

    第6問:では、凧糸は誰が用意してくれたのでしょうか。

    1)父親  2)母親  3)祖父  4)祖母

    詩子アナ:凧糸は買えばいいんじゃないんでしょうか。

    歌樽先生:当時は今のように凧糸用の糸を簡単に買える時代ではなかったようですよ。

    詩子アナ:ということは、糸を紡ぐのですか。

    歌樽先生:凧糸を紡ぐだけでなく、糸ができた後に特殊な加工も必要になりますからね。

    詩子アナ:高く揚げるにはずいぶん長い糸が必要になるでしょうし、分かりました。

    第6問:答えは、4)の祖母、です。

    祖父が凧揚げを教えるのですから、糸は祖母という組み合わせがピッタリです。

    歌樽先生:ピッタリかどうかはあまり関係がありませんが、正解です。このころの子供たちは凧糸を作るのにセーターとかソックスのようなものの繊維を解いて使っていたようですよ。

    詩子アナ:そうなんですか。凧の糸に特殊な加工が必要だというのはどういうことですか。

    歌樽先生:では、これを問題にしてみましょう。

    第7問:凧糸が特殊なのは糸に何が必要だからでしょうか。

    1)長さ  2)太さ  3)切れにくさ  4)しなやかさ

  • ハングルの詩のある風景: 素月と凧揚げ 第3回

    歌樽先生:私も久しぶりに聴きました。1911年刊行の『尋常小学唱歌』に掲載された文部省唱歌とありますね。

    詩子アナ:尋常小学というのは何ですか。

    歌樽先生:旧制の小学校で「尋常小学校」と言っていました。

    詩子アナ:同じ頃にどんな唱歌が作られたのですか。

    歌樽先生:「♪でんでん虫虫」の「かたつむり」や「♪山田の中の一本足」の「案山子(かかし)」、「♪秋の夕日に照る山」の「紅葉(もみじ)」、「♪京の五条の橋の上」の「牛若丸」などたくさんありますね。

    詩子アナ:「でんでん虫虫」以外はあまりよく分かりませんが。

    歌樽先生:学校で習う歌も昔とはずいぶん違っているんでしょうね。

    詩子アナ:先生は「かたつむり」「案山子」「紅葉」「牛若丸」の歌、全部知っているんですか。

    歌樽先生:有名な歌ですから、知っていますよ。そのかわり、最近の歌はよく知りませんが。

    詩子アナ:時代の移り変わりがとても早いようですね。「紙鳶の歌」のように、凧には「絵だこ」と「字だこ」があるんですか。

    歌樽先生:凧に「武者」や「龍」の絵を描いたものを「絵だこ」、「龍」などの文字をかいたものを「字だこ」と言っていますね。江戸時代の浮世絵にも凧揚げが取り上げられていますよ。

    • 広重: a) 山下町日比谷外さくら田  
    • 広重: b)『東海道五十三次』袋井「名物遠州だこ」
    • 北斎: c) 浅艸(あさくさ)本願寺    
    • 北斎: d) 江都(えど)駿河町三井(みつい)見世略圖

    子アナ:いろんな凧があるんでね。韓国でも凧揚げの民俗画のようなものが残っていますか。

    歌樽先生:凧揚げは大切な民俗行事ですから、いくつもありますよ。

    詩子アナ:小さい子供が凧揚げをしていますね。着ているものもカラフルで楽しいですね。金素月は子供の頃凧揚げをしていたのですか。

    歌樽先生:子供の頃、熱心にやっていたようですね。

    第4問:素月は何歳の頃から凧揚げをしていたでしょうか。

    1)4歳以下  2)5歳~7歳  3)8歳~9歳  4)10歳以上

  • ハングルの詩のある風景: 素月と凧揚げ 第2回

    歌樽先生:今回はいろいろと難しいところもあるのですが、強いて言えば「네 길거리」でしょうか、あるいは「혼자 섰으면」でしょうかね。

    詩子アナ:キーとなるハングル、難しいようですが、「네 길거리」と「혼자 섰으면」いただきました!「길거리」は「通り」、「네」は「4つ」の意味ですから、「네 길거리」は「四辻、四つ角、十字路」といった意味になります。また、「혼자」は「一人」、「섰으면」は「立てれば、立ちたいなあ」で、「혼자 섰으면」は「一人立てれば、一人立ちたいなあ」といった意味です。では、このキーとなるハングルが入っているのはどんな詩でしょうか。

    歌樽先生:こちらを見てみましょう。金素月の詩集『진달래꽃』の55番目の詩です。

    紙鳶

    午后의 네길거리 해가 드럿다、

    市井의 첫겨울의 寂寞함이여、

    우둑키 문어구에 혼자섯스면、

    흰눈의 닙사귀、紙鳶이 뜬다。

    詩子アナ:漢字が多くて、読みにくいものもありますね。

    歌樽先生:では、ハングルで読めるように綴りも現在の書き方に合わせましょう。ついでに、直訳型の臨時訳も付けておきましょう。しっかりした訳詩はあとでまた考えることにして、臨時訳をしてみましょう。

    詩子アナ:分かりにくいところもあるのですが、それはゆっくり伺うことにします。

    지연(紙鳶)                            凧(臨時訳)

    午後(오후)의 네 길거리 해가 들었다. 午後の四辻に陽が射した。

    市井(시정)의 첫겨울의 寂寞(적막)함이여, 街の初冬の静かさよ、

    우둑히 문어귀에 혼자 섰으면,  ぷらりと門(かど)に独り立てれば、

    흰 눈의 잎사귀, 紙鳶(지연)이 뜬다.  白雪の木の葉、凧浮かぶ。

    歌樽先生:詩のタイトルを考えてみましょう。

    第3問:「紙鳶」は音読みでは「しえん」ですが、訓読みでは次の内どれでしょうか。

    1)やっこだこ 2)いかのぼり  3)かみとんび 4)あがりえい

    詩子アナ:「鳶(とんび)」からすると「かみとんび」と読みたいのですが、少々お待ちを。辞書の支援をいただきまして、調べてみます。

    第3問:答えは、2)いかのぼり、です。

    広辞苑には「いか【紙鳶・凧】」「いかのぼり【凧・紙鳶】」「しえん紙鳶】凧(たこ)。いかのぼり。<季新年>」とあります。1)も3)も4)もありませんので、2)です。

    歌樽先生:正解です。凧揚げのことを「いかのぼり」と言っていたようですね。明治時代の「尋常小学唱歌」に「紙鳶の歌」があって、ここでは「紙鳶」に「たこ」のルビがついています。歌を聴いてみましょう。

    紙鳶の歌(たこのうた)尋常小学唱歌「第一学年用」Bing video

    一、紙鳶(たこ)紙鳶(たこ)(あが)れ。(かぜ)よくうけて、(くも)まで(あが)れ、(てん)まで(あが)れ。

    二、繪紙鳶(えだこ)字紙鳶(じだこ)、どちらも()けず (くも)まで(あが)れ、(てん)まで(あが)れ。

    三、あれあれ、(さが)る。ひけひけ(いと)を。あれあれ(あが)る。(はな)すな(いと)を。

    詩子アナ:初めてですが、どこかで聴いたことのあるようなメロディーですね。

  • [毎週水曜日アップ、全18回の予定です]

    ハングルの詩のある風景: 素月と凧揚げ 第1回

    ナレーター:詩には風景があります。それぞれの詩にどんな風景があるのか想像してみると、その詩の姿がはっきりと浮かび上がってまいります。今回のハングルの詩はどんな風景のどんな詩なのでしょうか。

    独断と偏見でお馴染みの歌樽先生が現場にすでに到着なさっているようです。では、現地の詩子アナウンサーを呼んでみましょう。現地の模様はいかがでしょうか。

    詩子アナ:はい、こちら詩子です。お昼を済ましてから、散歩がてらこの公園に来ている人も多いようです。では、歌樽先生に伺ってみましょう。今回の詩のキーとなるハングルはずばり何でしょうか。

    歌樽先生:ずばーり、、、難しいですね。

    詩子アナ:そこのところを何とかお願いします。

    歌樽先生:今回はかなりぐるぐると回り道をしながら見ていくことになりそうですので、全てをキーとなるハングルにしたいのですが、そうもいかないので、こんな問題から始めましょう。

    第1問:次の語の内、素月の詩の中で最も多く用いられているのはどれでしょうか。

    1) 새(鳥)   2) 구름(雲)   3) 달(月)   4) 하늘(空)

    詩子アナ:1)の「새」は「山有花(산유화)」という題の詩に「산에서 우는 작은 새요(直訳:山で鳴く小さな鳥よ)」 と詠っている部分がありましたね。

    歌樽先生:そうですね。本文では「적은새」という表記になっていますが、「작은 새(小さな鳥)」のことですね。

    詩子アナ:4)の「하늘」は「제비(つばめ)」という題の3行詩の一行目に「하늘로 날아다니는 제비의 몸으로도 (直訳:空を飛び交うつばめの身でも)」とありました。

    歌樽先生:なかなかよく覚えていますね。本文では「하늘」が「하눌」となっていましたね。

    詩子アナ:あの、あてずっぽうですが、

    第1問:4)空(하늘)、にします。

    歌樽先生:あてずっぽうといわれては、何とも言いようがありませんね。

    詩子アナ:では、当たりですか。よかった!空を見て何か探していらっしゃるようでしたので。

    歌樽先生:ああ、そうでしたか。空を見ながら、「空」が答になるような問題を無意識のうちに作ってしまったようですね。使用頻度順に並べると、およその割合ですが、

    ()구름()()하늘() →1:2:3:4 となります

    詩子アナ:あの、キーとなるハングルをそろそろ伺いたいのですが、いかがでしょうか。

    歌樽先生:では、この問題をしてからにしましょう。

    第2問:空をみながら待っているものは次の内、どれでしょうか。

    1) 花火(불꽃놀이)  2)凧揚げ(연날리기)の凧  3) 飛行機(비행기) 4) UFO(비행접시)

    詩子アナ:あの、私、UFOの町に行ったことがあります。

    歌樽先生:日本にUFOの町があるんですか。

    詩子:ええ、石川県の羽咋(はくい)市です。「宇宙科学博物館コスモアイル羽咋」という展示館で、実物大の宇宙船や宇宙食もあります。

    本物の宇宙船がある宇宙科学博物館コスモアイル羽咋

    歌樽先生:実は、あまりUFOの話をするつもりはなかったのですが。

    詩子アナ:それは残念ですね。『宇宙&UFO国際会議報告書』もここから出されているんですが。

    歌樽先生:そのお話は別の機会に伺いましょう。

    詩子アナ:ということは、UFOの話ではないようですので、答えが分かりました。

    第2問:答は、2)凧揚げ(연날리기) の凧、です。

    花火を上げるのは夜ですし、飛行機はよほど低空でなければ見えませんから。

    このあたりで、キーとなるハングルをお願いします。