Category: ハングル俳句

  • 第4回 題目:トウガラシ(고추) 唐辛子 チェサでは使えぬ すごいやつ(NO53) 「チェサ」は祖先に供物をお供えして祀ることで、「祭祀」と書きます。このチェサには辛い野菜、刺激の強い野菜は用いられません。その理由は次の句で説明します。 また、果物では桃が使えません。桃は霊に対して力が勝るからという説もあります。「すごいやつ」とやや荒っぽい表現にしたところが、唐辛子の辛さを表しているのでしょう。 唐辛子、ニンニク、ネギ、ニラ、セリいらん(NO22) これらの野菜は「五辛菜(오신채:オシンチェ)」といい、祭祀(チェサ:祖先を祀ること)の膳に用いることが禁じられています。 この句は、「春の七草の歌」(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ほとけの座、すずな、すずしろ、これぞ七草)を思い出させます。 これらの野菜が祭祀の膳にのらないのは、お寺の料理に用いられないから、あるいは刺激性が強いから、精力が付くからなどととされています。もっとも唐辛子は祭祀が定着する頃にはまだ栽培されていませんでした。この句で「五辛菜」が覚えられますね。 唐辛子食べて汗かく夏盛り(NO57)   暑い夏に唐辛子を食べるともっと暑く感じるはずですが、韓国では熱いもの、辛いものが好まれます。熱いものの代表は「参鶏湯(삼계탕:サムゲタン)」、辛いものの代表は「咸興冷麺(함흥냉면:ハムフンネンミョン)」でしょう。 古くから「以熱治熱(이열치열:イヨルチヨル)」という言葉があり、これは「熱をもって熱を治す」ところから、「熱には熱」、「力には力」といった風に、暑い夏には熱いものを食べて暑さに負けないようにしようという考え方です。 夏の盛りに唐辛子を食べて汗をかく様子が「以熱治熱」にぴったりの句となっています。    こんな句も 気が滅入るそんな時こそ唐辛子(NO44) 唐辛子の辛さには気が滅入ったときに元気にしてくれる力があるようです。この句の作者はそんな唐辛子の力を知っているのでしょう。唐辛子の辛さに慣れると、辛いものがないと寂しくなることもよくあります。 かなり辛い唐辛子でもとがった先っぽの三分の一ほどはそれほど辛くありません。辛いものが苦手の人は先っぽの細い部分を少しだけ齧ってみて、辛さ具合を確かめてみましょう。 本当に辛いものは胃を壊しますので注意しましょう。

  • 第3回 題目:マッコリ、マッコルリ(막걸리:濁り酒) マッコリの 味を知ってる 我が小指(NO38) マッコリを小指で回してから飲むという話をしたところ、 「マッコルリ ゆっくりゆっくり 回します(NO7)」 「マッコルリ 小指で混ぜて 通(ツウ)になる(NO25、類句NO36、NO54)」 などの句もありました。 「小指が味を知っている」というのは、飲んだことがあるのでしょう。見よう見まねで小指を立てて、マッコリに浸して回しているうちに、酸っぱさとか、舌への刺激とか、まろやかさとかが、分かるようになります。 インドでは指でご飯を混ぜて食べますが、まず指で味見をするそうです。「味を知ってる」というのはこのような感覚なのでしょう。 歴史混ぜ 白を濃くする マッコルリ(NO32) マッコリを小指で混ぜるという句が多かったなかで、混ぜるという行為を歴史と結びつけたこの句は深みを感じました。また、マッコリは入れたままにしておくと、白い部分が沈殿し底に沈むため、上の部分が薄く、透明に近くなることがあります。それを混ぜると白く濁ってマッコリらしくなります。 これをこの句では「白を濃くする」といっているのでしょう。あれこれと考えながら、また歴史にも思いを馳せながら、という場面にもっとも合うのはマッコリのようです。 焼酎では早く酔ってしまいますし、ビールや生ビールでは歴史とは合わない気がします。 マッコルリ 飲んで目指すは 韓国美(NO60) マッコリを飲んできれいになれるかどうかは分かりませんが、キムチを食べて歯を白くさせたり、辛いものを食べて脂肪を燃やしてスリムを目指したりするのが「あり」であれば、マッコリを飲んで韓国美を追求するこことも「あり」かなと思わせます。 「カラ」や「少女時代」など女性グループが大人気なのもスリム系と無関係ではないでしょう。 韓国では踊りながら歌うときに「口パク」がよくありましたが、これを禁止する法案が今年5月31日に出されたそうです。この法案が通ると、多くの歌手グループは大変になりそうです。それはともかく、何かを目指すのはよいことです。 人気の句 紅い頬 白いマッコリ 美しき(NO2) 「紅い」と「白い」の対比が「頬」と「マッコリ」をうまく生かし、これがアピールしたようです。「美しき」というのは連体形なので、文末に使うには係助詞が必要ですが、現代語では「美しい!」といった意味合いがあるように感じられるのかもしれません。 「マッコリ」の「コリ」に掛けて、「ホッコリ」「ニッコリ」「コリゴリ」などを入れた句も多く見られました。音だけをしゃれてもなかなかうまくいかないようです。 文末の「美しき」が不自然であるところから、「美しき 白いマッコリ 紅い頬」のほうが良いのではという 指摘(NO39)もありました。

  • 第2回 題目:ビビンパ、ピビンパプ(비빔밥) 残り物 あなたと混ぜる ピビンパプ(NO35) ビビンパの起源はいろいろありますが、もっとも自然なのは 残ったものを混ぜて食べることでしょう。直訳すると「混ぜる:비비다」の「名詞形:비빔」と「ご飯:밥」ですから、「混ぜご飯」になります。 韓国では実際に残り物を混ぜて食べるのは主に食事を担当する女性のようですが、この句からは食べ物を混ぜるだけでなく、人生のさまざまな味を一緒に混ぜて、生き抜くといった意味合いを感じます。 ビビンパの 辛さにほれた 恋心(NO45)   ビビンパはそれほど辛い料理ではありませんが、はじめての人にはコチュジャンの辛さに驚くかもしれません。ビビンパを食べに行こうと誘われ、えっ!というほどの辛さに、あらためて相手を見直すというところに恋のマジックがあるのでしょう。 ビビンパと くもるメガネと 光る汗(NO39) ビビンパの美味しさは至福といっていいほどです。わたしも全州に行くと必ずといってよいほど立ち寄るお店があります。それはそれは美味しくて、ただただいただくことに感謝しながら集中します。 中に入っている具の種類も多く、25種類ほどあり、おかずに付くものがこのほかに15種類ほどあるといった、ほんとうに贅沢なものです。メガネはくもり、汗も出ます。食べている人たちの描写を目前でしたような句です。 人気の句 ビビンパの 石のこだわり 味深く(NO31)    この句は「トルソッ ビビンパプ(돌솥 비빔밥:石釜ビビンパ)」のことを詠んだ句のようです。ふつう「石焼ビビンパ」と呼んでいるものです。この料理に使われる石は「長水:チャンス」という地方のものが有名です。ビビンパの本場の全州から近い距離にあります。 この石の器は、遠赤外線の働きで火がまんべんなく通り、美味しい味を出すとのことです。底におこげができるのも香ばしく、ここにお湯をいれると「スンニュン:お焦げ茶」ができます。このような内容を受けて作られた句です。こうしてみると、人気の句で、味わい深いものがあります。

  • 2011年度 第1回 題目:チョッカラク(젓가락:お箸) チョッカラク 埋まらない距離の 僕と君(NO39) チョッカラク文化の韓国の学生とお箸文化の日本人の私の距離が、学んでみると、なるほどと思えるくらいの距離があることを実感したという風に読みました。ハングルを学んだり、食事などを楽しみながら距離を縮めてください。 チョッカラク 学んでつながる 君と僕(NO4) 文化の違いを超えて、互いに理解しようとする気持ちが表れている句です。この気持ちは希望へとつながっているような気がします。 箸がいい チョッカラクより チョットラク(NO21) 言葉遊びのようにも見える句ですが、お箸の方が日本人には使い易いという実感と、食事文化の慣れについても語っているようです。韓国料理も楽しんでみましょう。 人気の句 暑い夏 ちょっとひんやり チョッカラク(NO35) この句はもっとも人気のあったものですが、「ひんやり」が金属製であることを示しています。「暑い夏」の「暑い」は不要です。「暑い夏」と「ひんやりチョッカラク」との対比の意図もあるのでしょうが、「暑い」と「ひんやり」は対比できますが、「夏」と「チョッカラク」は対比になっていません。 季節感を表すには夏らしいものを挙げるといいでしょう。「浴衣着に」とすると夕涼みとか、花火大会といった風情で韓国料理をいただいている感じになりますが、いかがでしょうか。

  • ハングル俳句へのお問い合わせをいただきました。兼若先生に答えていただきました。 ハングル俳句についてのメール、ありがとうございました。韓国ではハングルでの俳句大会も開かれているようです。日本でハングルでの俳句の大会や句会をしているところがあるのかどうか、私も知りません。 学生たちにはハングルを一語でいいので句に入れて、ハングル俳句を作ってみましょうと言っていますが、なかなかそれも難しくなってきました。 ハングル俳句に興味をもっていただき嬉しく思っています。作品をお送りくださり、本ブログのハングル俳句の場をもっと盛んにしていただければ幸いです。 なお、韓国では俳句大会が開かれているようで、「第一回 韓国語俳句大会」の作品が以下のサイトに出ています。 http://pann.nate.com/talk/113193391 대회상(대상) : 박점화 (49/ 부산/주부) 大会賞(大賞):朴チョムファ(49才/釜山/主婦) 배고픈 오후 / 눈으로 먹는다네 / 이팝나무 꽃 直訳:お腹のすいた午後 目で食べるのよ ヒトツバタゴの花 この句については少し説明が要るようです。「ヒトツバタゴ」の花の写真が以下のサイトに出ています。 http://www.geocities.jp/ir5o_kjmt/kigi/hitotubt.htm 「ヒトツバタゴ」の花はケーキに白い砂糖を振り掛けたように見えます。また白いご飯のようにも見えます。 「이팝나무」の「이팝」は「이밥-お米のご飯」に通じ、花の咲き方が米の収穫高を示すとされ、神木として大切にされたり、「この木の花が咲いたころに苗代を作るように」という言い伝えから、この名になったともいいます 【I】

  • ハングル俳句は、こんなふうに作ります。 「ハングル俳句」を作りましょう。 季語は問いません。5・7・5のうちの最少1句でハングルを使うことにします。 もちろん、すべてハングル書きもOKです。ハングル書きの字数は文字数で数えます。 例: 약산에서도(5)  눈이 쌓여 있을까(7)  クリスマス(5) 薬山でも 雪が積もっているだろうか クリスマス 12月25日の夜からソウルでは雪が降り始めました。 薬山(ヤクサン)は金素月(キム・ソウル)の詩「진달래 꽃(ツツジの花)」に出てくる山です。 ———————————————————– 새해 복 많이  友さりてゆく そこ冷えに あちちちっ 卵落として 순두부찌개 意外と時間がかかりました。 【I】