紙上中継「ハングルの詩のある風景」素月と無主空山 第4回
詩子アナ:「無主空山」の辞書的な意味では、「①人家も人気もない寂しい山、②持ち主のいない山」とありますが、この詩集ではもっと広い意味で使われているようですね。
歌樽先生:いいところに気が付きましたね。では、そのあたりも考えながら、次の詩「개아미:蟻」を見ておきましょう。こんな詩です。
| 개아미(NO26) 진달래꽃이피고 바람은버들가지에서울때, 개아미는 허리가늣한개아미는 봄날의한나절, 오늘하루도 고달피부지런히집을지어라. |
詩子アナ:では、今回は7音と5音で訳してみます。
| アリ ツツジの花は咲き誇り 風はヤナギの枝で泣く アリはといえば 腰細のアリはといえば 春の日も日がな一日 身を粉(こ)にしては巣を作る。 |
歌樽先生:いろいろと考えた跡が分かる訳になっていますね。
詩子アナ:ありがとうございます。この詩は不思議な香りがする詩ですね。
歌樽先生:何かこの詩の心を捕まえたようですね。
詩子アナ:まだまだです。何かを捕まえたいのですが、香りだけでなかなか掴みきれません。ここで何かヒントがあれば万々歳なのですが。
歌樽先生:そう来ましたか。ではこんな問題はいかがでしょうか。
第4問:二行目に「바람은버들가지에서울때:風は柳の枝で泣く時(直訳)」とありますが、風が泣くのはなぜでしょうか。
1)春だから 2)つつじがきれいだから 3)戻る所がないから 4)風の本性だから
詩子アナ:風が強く吹けば、泣くように聞こえることがありますから、風の本性のようにも思えますが、4択問題の解法の経験上、「それらしいものに正解無し」ですので、4)は除外します。
歌樽先生:4択問題の「해결사(解決士)」の域に達していますね。
詩子アナ:これは、どうもありがとうございます。1)の春はどことなく憂鬱な雰囲気があり、つつじがきれいで風が泣くという風景はなかなか情緒があるようにも感じますが、いまひとつピンとくるものがありません。
歌樽先生:ピンと来ない理由は何でしょうか。
詩子アナ:それは他に答があるからだと思います。
歌樽先生:方向はしっかりしていますね。
詩子アナ:いえ、まだまだですが。
歌樽先生:出てますよ。
詩子アナ:えっ?ああ、そういうことですか。「いえ:家」ということですか。なるほど、納得です。
第4問:答は、3)戻る所がないから。
「つばめ」では「어찌설지않으랴, 집도없는몸이야!(ああ、悲しきは家なきわが身!)」、家がないことを嘆いています。家とは故郷でもあり、故国でもあり、祖国でもあり、安心できる場所でもあるのですが、「개아미:アリ」では蟻は家を作っているのに、風は安心できる場所のないので、せめて柳の枝にでもと自分の身の上を悲しんで泣くという設定となっていて、これは素月の気持ちを表しています。
歌樽先生:かなり攻めてきましたね。「無主空山」の理解が深まったようですね。
詩子アナ:はい。何か素月の詩の世界が少し開けてきたようです。
歌樽先生:それは素晴らしいですね。主役と脇役の関係を考えてみるとさらに理解が深まりますよ。
詩子アナ:はい、そのあたりを考えてみます。「부엉새(ミミズク)」はどんな詩ですか。
歌樽先生:「부엉새」はなかなか手強い詩です。







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