Category: ハングルの詩のある風景

  • ハングルの詩のある風景: 失題の秘密 第15回 歌樽先生:なかなかするどい方向に向かっていますね。 詩子アナ:完全数という言葉はどこかで聞いた覚えがあります。たしか、映画だったようですが。分かりました。 第23問:答えは、2)完全数、です。 歌樽先生:いつもながら、なかなかの推理力ですね。 詩子アナ:推理ではなくて、思い出しただけです。映画のタイトルが「博士の愛した数式」だったようですが、中身はあまり覚えていません。 歌樽先生:なかなかいい映画でしたね。完全数というのはある数の約数の和がその数のちょうど2倍のものです。 詩子アナ:約数の和がその数のちょうど2倍ということは、自分の数を除いた約数の和がそのもとの数と一致するものですね。 歌樽先生:その通りです。例えば、「6」の場合の約数は「1,2,3,6」で、最大の約数の「6」を除くと、「1+2+3=6」で、これが元の「6」と一致していますから、完全数です。 詩子アナ:なるほど、そうですか。「28」は約数が「1+2+4+7+14」でこれが「28」ですから、完全数となる訳ですね。 歌樽先生:1桁の数では「6」、2桁の数では「28」、3桁の数では「496」、4桁の数では「8128」とそれぞれ1つずつしかないんです。この4つはしっかり覚えていてください。 詩子アナ:「6、28、496、8128」ですね。分かりました。では、5桁や6桁もひとつずつなんですか。 歌樽先生:5桁から7桁はひとつもなく、8桁の「33,550,336」まで跳びます。 詩子アナ:では、その次は? 歌樽先生:その次は少し先の10桁で「8,589,869,056」です。 詩子アナ:完全数はそれほど少ないんですか。下1桁が「6」か「8」のものが多いようですね。 歌樽先生:そうですね。現在まで見つかっているものの下1桁はすべてが「6」か「8」なんです。しかも「6」の前の数字は「奇数」、「8」の前の数字は偶数の「2」しか来ないんです。 詩子アナ:「2」と「8」がペア―になって、いつも「28」の形になっているんですね。 歌樽先生:そうです。完全数には実は面白い特徴があります。 第24問:2桁以上の完全数に現れる数字の一つ一つをすべて足し、合計が2桁以上だとそれをまた足して1桁になるまで繰り返すとその値は次のどれでしょうか。 1) 1  2)3  3)6  4)8 詩子アナ:意味がよく分かりませんが。 歌樽先生:仮にですが、31415926535897932384626433832795という数字があるとすると、一つ一つの数字をすべて足すと155になります。この数字を足すと「1+5+5」で「11」、これを足すと「1+1」で「2」になります。これで1桁の数字になりました。 詩子アナ:やり方は分かりました。では、先ほどの2桁の完全数からやってみます。「28」は「2+8=10」、これを1桁にすると「1+0=1」で「1」。「496」は「4+9+6=19」、「1+9=10」「1+0=1」で「1」、4桁の「8128」は「8+1+2+8=19」、「1+9=10」」、「1+0=1」で「1」、8桁の「33,550,336」だと、合計が「28」、これも「1」ということで、 第24問:答えは1)の「1」、です。 つまり、完全数の数字を一つ一つどんどん足していって、その結果をまた一つ一つ足していけば最後には「10」になって、これを1桁にすると「1」になるということなんですね。これは数字がいくら大きくなっても変わりませんか。 歌樽先生:変わらないようですね。実際の数字がかかれたサイトがありますから、あとで調べてみてみてください。 http://goodboone.com/izime/science/entry1247.html 詩子アナ:数学好きの素月は2月8日を完全数としての「28」とどこかでつながっていると認識していたかもしれませんね。 歌樽先生:完全数という言葉にも魅せられたところがあったのではないかと思われます。「28」とか「31」という数字について考えていたことは確かでしょう。

  • ハングルの詩のある風景: 失題の秘密 第14回 詩子アナ:当たり、当たりの大当たりです。さっき「보」「십」「밤」「옵」「박」「발」「부」「납」など「ㅂ」の文字が目立つと思ったのですが、「ㅂ」の数が大当たりなんです。 歌樽先生:どう大当たりなんですか。 詩子アナ:「28」個あるんです。 동무들 보십시오 해가 집니다        1 2           3 해 지고 오늘날은 가노랍니다                      4 윗옷을 잽시 빨리 입으십시오        5    6    7   8 우리도 山(산)마루로 올라갑시다                                     9 동무들 보십시오 해가 집니다         10 11         12 세상의 모든 것은 빛이 납니다                     13   14 이제는 주춤주춤 어둡습니다    …

  • ハングルの詩のある風景 : 失題の秘密 第13回 歌樽先生:かなり、詩の本題に入ってきたようですね。 詩子アナ:でも、一方でこの7番目の「失題」というタイトルの詩は国の独立とか愛国歌とかとはまったく無関係と考えている人も多いと思うのですが。 歌樽先生:詩の読み方はいろいろありますので、いろんな理解の仕方があっていいんじゃないですか。詩が一つの理解しかできないのでは窮屈ですからね。 詩子アナ:いろんな読み方ができる、それがAでもあり、かつBでもあるという形式をとっている理由なんですね。 歌樽先生:では、そこのところをもう少し考えてみましょう。 第22問:次の中で2つの意味にとれるものはどれでしょうか。 1) 동무들 보십시오 밤이 옵니다    2) 박쥐가 발부리에 일어납니다 3) 두 눈을 인제 그만 감으십시오   4) 우리도 골짜기로 내려갑시다 詩子アナ:二つの意味ですか。 歌樽先生:正反対の意味と言ってもいいでしょう。 詩子アナ:正反対ですか。 1)ごらんなさい。夜になります → ごらんなさい。朝になります 2)コウモリが足の方に起き上がります → 頭の方に起き上がります 3)2つの目を閉じましょう → 2つの目を開けましょう 4)山から下りましょう →さらに山の上に上がりましょう こんな感じで探せばいいんですね。 歌樽先生:そうですね。 詩子アナ:あの、コウモリって目がありましたっけ? 歌樽先生:夜行性のコウモリは目がよく見えないので、超音波を出して餌の位置などを確認をしているといわれていますね。 詩子アナ:「2つの目」というのは誰の目ですか? 歌樽先生:それは考えてみてください。 詩子アナ:「ややこしや、ややこしや」の世界ですね。一緒に山に登った子供たちは目を閉じてはいないでしょうから、これが子供たちに言っているのであれば「目を閉じなさい」ということになりますが、これから山を下るのに目を閉じたままでは危ないですし、目を閉じなければならない理由も見当たりませんから、子供たちの目ではないようですね。コウモリの目だとしても、よく見えない訳ですから、目を閉じても開けても見るという点では大差はないですね。 歌樽先生:だいぶ整理がついたようですね。 詩子アナ:分かりました。 第22問:3)の 두 눈을 인제 그만 감으십시오、です。 寝ている人には「もう目を覚ましましょう」、起きていた人には「目をつむりましょう」と正反対の意味になるような表現になっています。 歌樽先生:不思議な文ですね。3)は真逆の意味にとれますね。 詩子アナ:「인제 그만」が微妙ですね。「인제…

  • ハングルの詩のある風景: 失題の秘密 第12回 詩子アナ:昔の人は千字文で「樹」の後ろが「白」だということがすぐに分かっていたんですか。 歌樽先生:もちろんです。では、こんな問題を。 第19問:「いろは歌」で「あ」の後ろの音は何ですか。 詩子アナ:ちょっとお待ちください。「いろはにほへと・・・あさきゆめみし」ですから。 第19問:「さ」です。 歌樽先生:千字文も同じで、昔の人は子供のころから諳んじていましたから、「鳴鳳在樹」は「울 명,봉황새 봉,있을 재,나무 수」,「白駒食場」は「흰 백,망아지 구,밥 식,마당 장」とすらすらでてきます。ですから、「樹」の後ろは「白」とすぐに分かります。 詩子アナ:昔の人はいろんな勉強をしていたんですね。 歌樽先生:実は、この詩の本文の中にも「白頭」があるんですよ。次の第3連を見ておきましょう。 동무들 보십시오 밤이 옵니다 박쥐가 발부리에 일어납니다 두 눈을 인제 그만 감으십시오 우리도 골짜기로 내려갑시다 詩子アナ:「보」「십」「밤」「옵」「박」「발」「부」「납」など「ㅂ」の文字が目立ちますが。 歌樽先生:確かに「ㅂ」が目立ちますね。1行目と2行目の頭音をつなぐと、どうなりますか。 詩子アナ:「동무」と「박쥐」の頭音をつなぐと「동박」となります。「동박꽃」は「동백꽃:ツバキの花」、「동박나무」は「동백나무:ツバキ」のことですから、「박」を「백 」に変えて3行目の頭音につなげると「백두(白頭)」となります。 歌樽先生:かなり深いところまで来ましたね。 詩子アナ:あの、これも、AでもありBでもあるような形にしておいて、Aではないかと問い詰められた時に、AとBは違いますという類の例のようですが。 歌樽先生:なるほど。仮に「백두(白頭)」とはけしからんと言われた時には「백」ではなく「박」ですといえるようになっていますね。では、次の問題です。 第20問:独立運動で歌われた愛国歌に出てくる海は次の内、どれでしょうか。 1)동해(東海) 2)서해(西海) 3)남해(南海) 4)북해(北海) 詩子アナ:これは間違いなく答えられます。 第20問:1)の 동해(東海)、です。「동해 물과 백두산이 마르고 닳도록」ですから。 歌樽先生:これは韓国に行くと聞く機会が多いですね。 第21問:では、この「동해」を「失題」から探しましょう。 詩子アナ:ここまでやってくるとすぐに分かります。 동무들 보십시오…

  • ハングルの詩のある風景: 失題の秘密 第11回 歌樽先生:そんなに大変ですか。 詩子アナ:重大事件です。「2・8宣言書」や「3・1宣言書」のような国の独立を云々するような語彙や表現は見当たらないと思っていたのですが、ありました! 歌樽先生:見当たれば、すぐに捕まりますから、見当たらないようにした訳ですね。 詩子アナ:はい、これではなかなか見つかりません。「バンザイ」です。ばんざーい! 歌樽先生:急にどうしたんですか。大丈夫ですか。 詩子アナ:謎がだんだん解けてきた気がします。 歌樽先生:実際には目次も縦書きですから、右から左下に読むことになりますね。今までにない、鋭い視点が加わったようですね。 詩子アナ:褒めていただき、ありがとうございます。「萬里城」の「萬」と「樹芽」の「芽」の下の部分の「才」で「萬才」、つまり3・1運動で「独立萬歳」を叫んだことを思い起こさせます。 歌樽先生:「破字法」の爆発的な威力が発揮されていますね。「万歳」の「歳」は千字文では「閏餘成歳(윤여성세):閏月で1年を成す」(歳は28番目の文字) 、「才能」の「才」は「男効才良(남효재량):男は才徳をみならえ」(才は167番目の文字) のところにあります。もともと別の文字ですが、「才」の字が「歳」の代わりに用いられていましたね。 詩子アナ:「万歳」の「歳」と「才能」の「才」は確かに別の文字ですね。 歌樽先生:万一、これは「万歳」のことを言っているのではないかと問われたときには、「歳」と「才」は字が違うというふうに、弁明できる余地を作ったと言えるかもしれませんね。 詩子アナ:そういうことですか。AでもありBでもあるような形にしておいて、Aではないかと問い詰められた時に、AとBは違いますという訳ですね。 歌樽先生:仮にということで、実際にはそこまで問い詰められるようなところまでいかないような工夫をあちこちにしていたのでしょう。ところで、「失題」と「白頭山」との関連はどうなりましたか。 詩子アナ:ああ、そちらの方を忘れていました。いろいろ当てずっぽうで言っても構いませんか。 歌樽先生:おおよその流れが間違っていなければ、当てずっぽうも無視できない方法ですよ。 詩子アナ:では、当てずっぽでやってみます。 第18問:「失題」の「題」の字に「白頭山」の「頭」の右の「頁(おおがい)」があります。「失」の第一画と「題」の字の第1画から第4画の「日」を合わせれば、「白」になります。「頭」の字の右側の「豆」が見つかりませんが、「題」の左側の「是」から「日」を除いた「下+人」と「失」の字の第一画を除いた「二+人」でなんとか辻褄を合わせるというのでいかがでしょう。 歌樽先生:鋭いところもあれば、無理筋のものもありますね。 詩子アナ:やはり、無理筋ですよね。 歌樽先生:千字文で「白」の字を調べてみましょう。 詩子アナ:4字づつ句で区切ると33番目の句と34番目の句に「鳴鳳在樹(명봉재수:メイホウザイジュ)白駒食場(백구식장:ハククショクジョウ)」があります。「鳳凰が木に止まって鳴き、白馬が草を食む」といった内容のようですが。 歌樽先生:「白」の前にある文字は何ですか。 詩子アナ:「樹」です。あー、なるほど、この「樹」の字の真ん中に「豆」の字がありますね。これは面白いことになりました。 第18問:再挑戦です。「失題」の「題」の字に「白頭山」の「頭」の右の「頁(おおがい)」があります。「豆」の字は2つ手前の詩のタイトルの「樹芽」の「樹」の木偏と右端の「寸」を除いた形から「豆」をいただいて、「白」は千字文の流れで、「樹・白」ですから、この「白」を足せば「白+豆+頁」となり、「山」は本文からとれば「白頭山」になります。 歌樽先生:かなり大変な作業になりましたね。

  • ハングルの詩のある風景 」 「失題の秘密」第10回 詩子アナ:李光洙、韓龍雲、崔南善、李昇薫は皆独立運動とかかわりのある方のようですね。 歌樽先生:そうですね。みんな逮捕されましたね。 詩子アナ:裁判の記録は残っているんですか。 歌樽先生:裁判記録はもちろん残っていますよ。 詩子アナ:白頭山と最も関連が深い人の特徴は何かありますか。 歌樽先生:その人の雅号の中に「主人」という文字が入っています。 詩子アナ:「破字」のように考えればいいんですね。分かりました。 第17問:3)の崔南善です。「崔」の字の山の下の「隹(ふるとり)」の形をよく見ると、「人偏+主」の形に似ています。 歌樽先生:正解です。「ふるとり」という言葉を久しぶりに聞きましたね。「舊(ふるい)」の字の中の「とり」ですから、これも「破字」的な感覚ですね。この破字がよく分かってきたようですね。崔南善は「六堂(육당)」という雅号が有名ですが、「南嶽主人」という雅号もありますよ、監獄にいましたしね。また、白頭山を踏査して紀行文の『白頭山覲參記(백두산근참기)』を書いています。 詩子アナ:そのほかの人は何をした人ですか。 歌樽先生:李光洙は「2・8宣言書」を書いた人、 韓龍雲は「3・1宣言書」の「公約3章」を書いた人で、詩人でもあります。李昇薫は3・1運動の「宣言書」に署名した33人の内の一人で、金素月の通っていた「五山学校」を建てた人でもあります。 詩子アナ:すごい人たちですね。あの、「失題」との関連がまだよく分かりませんが。 歌樽先生:では、その関連を探してみましょう。 第18問:「失題」と「白頭山」との関連はどこにあるのでしょうか。 詩子アナ:急に本論の中心部分に入ってきて、とまどっていますが。他にヒントはないのですか。 歌樽先生:では、もう一度目次を確認しておきましょう。呉河根先生の『정본 김소월 전집(正本 金素月全集)』(1995 집문당)の目次には詩に番号がふってあるので参考になります。 詩子アナ:7番目の「失題」の前は「님의 노래」、後ろは「님의 말씀」で、どちらも「님」が付いた詩になっていますね。 歌樽先生:面白いところに気が付きましたね。 詩子アナ:あの、32番目の「失題」の上の29番目と30番目の漢字表記に大変なことに気づきました。「萬里城」と「樹芽」なんですが、上から斜め下に「破字」の手法を用いて読むと、ああもう、大変、大変、無茶苦茶大変でーす。

  • ハングルの詩のある風景: 失題の秘密 第9回  詩子アナ:「失題」というタイトルの流れからすると、何かその流れに呼応するものが必要になるという訳ですね。 歌樽先生:そういうことです。すばらしい着想ですね。 詩子アナ:ここで褒められても、先に行く手立てがないんですが。 歌樽先生:ヒントになるかどうか分かりませんが、ここで一部を試訳したものを見ておきましょう。綴り字は今の書き方に直してあります。 동무들 보십시오 해가 집니다    みんなごらんよ 陽が沈む해 지고 오늘날은 가노랍니다   沈めば 今日とお別れさ윗옷을 잽시 빨리 입으십시오    何か羽織って さあ早く우리도 山(산)마루로 올라갑시다  僕らもお山に 登ろうよ 동무들 보십시오 해가 집니다    みんなごらんよ 陽が沈む세상의 모든 것은 빛이 납니다    どこもかしこも真っ赤っか 이제는 주춤주춤 어둡습니다     これからだんだん暗くなる예서 더 저문 때를 밤이랍니다   暮れゆきゃこれはもう夜だ 詩子アナ:「동무」というのは「同志」といった意味ですか? 歌樽先生:友達のことです。気軽に使える言葉でしたが、時代とともに使い方が変わってきましたね。呼びかけに使ったこともありましたが、呼びかけには使わなくなったり、全く使えなくなったりもしましたね。素月が生きていた頃は気軽に使えた時期です。 詩子アナ:友達に「보십시오:御覧ください」「해가 집니다:太陽が沈みます」というのは丁寧すぎて、何か変な気がするのですが。 歌樽先生:みんなの前で演説をしているような感もありますね。そういった何か気になるところがあれば、なんでも構いませんから、仰ってみてください。 詩子アナ:先生に「仰ってみてください」などと言われると、緊張します。この詩が何を呼び掛けているのかが、重要なポイントになると考えていいんですね。 歌樽先生:そのような流れで考えましょう。第15問:「(   )도…

  • ハングルの詩のある風景:失題の秘密 第8回 詩子アナ:伝統的な手法なんですね。 歌樽先生:高麗の時代からあったようですから、日本では平安時代の頃からということになりますね。 詩子アナ:ここは勘でやります。 第13問:1)の破字、です。 歌樽先生:理由は? 詩子アナ:破れかぶれ!です。「字画を分けたり、合わせたり」ですから、「分」と「合」は中途半端ですし、「遊」は軽すぎる感じがしました。 歌樽先生:冴えわたっていますね。では、これまでのところを整理する意味で問題を出しましょう。 第14問:「失題」というタイトルを2か所で付けた最大の理由は何でしょうか。      1)趣味で 2)題を忘れて 3)生存戦略上 4)謎々作りで 詩子アナ:「失題」というタイトルを付けること自体がただごとでない気がしてきました。 第14問:答は3)の生存戦略、です 歌樽先生:当時は本当の気持ちをストレートに表すことは難しかった時代でしたからね。 詩子アナ:特に日本の支配に対する反対の意思や民族の独立への思いを表す場合には、そのことを悟られないように細心の注意を払ったんですね。 歌樽先生:「失題」というタイトルを「実際」と結びつける解釈を紹介しましたが、実は「実際」を意識してこの「失題」というタイトルにしたのではないのです。 詩子アナ:「失題」といタイトルの問題はも第7番目と第32番目の意味が分かったところで終わったと思ったのですが、この先があるんですか。 歌樽先生:ええ、この先が少しあります。やや、込み入っていますがね。 詩子アナ:先ほどの「破字」と関連があるのですか。 歌樽先生:するどいところを突いてきましたね。「破字」の手法が巧みに取り入れられています。 詩子アナ:まだ、詩の本文には入れないのですか。 歌樽先生:入れない訳ではないのですが、「失題」というタイトルの方が忙しくて。では、初版本のコピーをちょっと見ておきましょう。 詩子アナ:「失題」というタイトル文字がハングルよりもずっと大きい活字ですね。 歌樽先生:他の詩の場合も漢字のタイトル部分はかなり大きい活字が用いられています。 詩子アナ:「山」だけが本文では漢字で書かれていますね。 歌樽先生:「山」はほとんどが漢字でかかれています。ハングルで「산」と書いてあるのを見つけるのが大変なぐらいです。 詩子アナ:何か整然と書かれているように見えるのですが、実際の山と関連があるのですか。 歌樽先生:そのあたりも考えて行きましょう。

  • ハングルの詩のある風景:失題の秘密 第7回 歌樽先生:いえ、こんなところで止まっていては先に進めませんよ。 詩子アナ:道は遠いようですから、力を入れ直しましょう。 歌樽先生:その意気でやりましょう。いろいろやってみるべきでしょうね。 詩子アナ:ヒントが目の前にあるのに歯がゆいですね。 歌樽先生:では、もう少しヒントを出しましょう。3.1運動の宣言書には本文と公約三章という行動要領のようなものが書かれているのですが、これを作ったのは韓龍雲という僧侶でかつ詩人です。素月とともに韓国で最も愛されている詩人といっていいでしょう。 詩子アナ:分かりました。 第11問:32の約数ですが、自分の数32を除くと、1+2+4+8+16=31となり、この3と1を3月1日に合わせたものと思われます。手法は自分の数を除いた約数の和です。 歌樽先生:大正解です。これで、7番目と32番目に置かれた「失題」の理由がわかりましたが、「失題(실제)」は「実際」とも「実題」とも発音が同じ「실제」なので、実際の気持ちを表したものという解釈をする人もいます。 詩子アナ:当時、数字と関連の深い詩人はいたんですか。 歌樽先生:当時の詩人で数と縁の深かった人ですか。例えば「青ぶどう」という詩で有名な李陸史(이육사)は自分の囚人番号が264だったので、これをペンネームに用いて「2(李:이)6(陸:육)4(史:사)」と名付けました。安東市に立派な「李陸史文学館」があります。 詩子アナ:囚人番号を名前にした人までいたんですね。数字を巧みに使った詩人はいないんですか。 歌樽先生:数字をたくさん使って難解な詩を書いた李箱(이상)は特に有名です。 詩子アナ:「鳥瞰図(조감도)」ではなくて「烏瞰図(오감도)」なんですか? 歌樽先生:「鳥(とり)」ではなく「烏(カラス)」ですね。 詩子アナ:横棒の一本が足りませんね。 歌樽先生:これも李箱が意識して「鳥」の字の棒を一本取り除いたのですが、別の詩の中でこの一本を使っているんです。計算して一本を引いてカラスにしたのですが、当初は「鳥」の誤植と考えた人もいたようですね。 詩子アナ:その一本はどこで使われているのですか。 歌樽先生:李箱の詩集を読めば、比較的容易に見つけることができますよ。 詩子アナ:何か特別な手法があるのですか。 歌樽先生:漢字を利用したやり方なのですが、この手法を使った有名な例を一つ見ておきましょう。 第12問:次の王様は「木八子」になるとすると、次の王様の姓は次のうちどれでしょうか。 1)金   2)朴   3)李  4)全 詩子アナ:はあ、そうですか。こんな風にするわけですね。 第12問:答は3)の「李」です。「李」は「木+八+子」でできていますから。 歌樽先生:では、関連した質問です。 第13問:漢字の字画を分けたり、合わせたりして遊んだり、占いなどに用いるやり方を何と呼んでいるでしょうか。 1)破字   2)分字   3)合字  4)遊字

  • ハングルの詩のある風景: 失題の秘密 第6回 詩子アナ:すばらしいヒントのおかげです。これも「サイン、コサイン、単位ゲット!」 第8問:答は2)の1919年2月8日、です。 歌樽先生:どのように導き出しましたか。 詩子アナ:「n(n+1)/2」という式で、nに「7」を代入すると、 「7×(7+1)/2」= 56/2 → 28、つまり2月8日と一致します。 1+2+3+4+5+6+7=28で、これを月と日にちに分けた訳です。 歌樽先生:なかなか冴えてきましたね。これで、次の秘密に迫ることができますよ。 詩子アナ:えっ!まだ先があるんですか。 歌樽先生:「失題」というタイトルの詩が2つありましたね。 第9問:では、この2つ目の「失題」は目次の中で何番目に当たりますか。 詩子アナ:それは数えればいいだけですから、目次を出して数えてみます。10番目が「마른 江 두덕에서」、20番目が「옌[예]前엔 밋처[미처] 몰낫서요[몰랐어요]」、30番目が「樹芽」で、「失題、失題」その二つ後ろにありました。([ ]の中は綴り字を直したもの) 第9問:「失題」は32番目です。 歌樽先生:では、同じように考えてみましょう。 第10問:「32番目」と最も関連の深いものは次の内どれでしょうか。 1) 1910年8月29日 2) 1919年2月8日 3) 1919年3月1日 4) 1923年9月1日 詩子アナ:こういう仕掛けがあったのですか。32という数字は何か掴みどころが見つかりませんね。31番目であれば、3.1運動との関わりということで分かりやすいのですが。 歌樽先生:いろんな風に考えてみてください。 詩子アナ:先ほどの「n(n+1)/2」という式で、nに「32」を代入すると、528ですから、5月28日となりますが、これではありませんね。 歌樽先生:同じ手法であれば、すぐに見破られますからね。 詩子アナ:これも、代数の問題なんでしょうか。 歌樽先生:代数は大好きでしたか。 詩子アナ:ということは代数系ということのようですね。逆に言えば、上の4つのどれかになるようなスマートな方法があるということですね。 歌樽先生:少なくとも素月はそのように考えついたということでしょう。 詩子アナ:あのー、まだ詩の内容に入っていないのですが。 歌樽先生:まずは、この「失題」というタイトルをしっかり見つめましょう。まだ先が長いですから。 詩子アナ:この先がまだあるんですか。 歌樽先生:なにしろ、タイトルを失うくらいですからね。 詩子アナ:あの、しっかりした根拠はないのですが、答は分かりました。どちらも独立運動に関連しています。 歌樽先生:そういう考え方もありますね。では、答を言ってみましょう。 詩子アナ:はい、勘ですが、 第10問:32番目と最も関連の深いのは3)の1919年3月1日です。 歌樽先生:正解です。ではその根拠を見つけてみましょう。 詩子アナ:数学的にですか? 歌樽先生:そうでなければなりませんね。50年後、100年後になってもいいので、誰かが解いてくれることを期待して「失題」というタイトルを付けている訳ですから、基本的には同様の何らかの手法を用いているはずです。 第11問:その手法とは何でしょうか。 詩子アナ:なかなか手強いですね。「失題」にこんな意味があるということをどこかで書いているのですか。 歌樽先生:それはあり得ませんね。そんなことをすればすぐに逮捕されてしまいますからね。 詩子アナ:参りました。