ハングルの詩のある風景: 素月と鉄橋 第12回
詩子アナ:なにか対策はあったのですか。
歌樽先生:朝鮮独立運動の取り締まりを目的とした「三矢協定」が、1925年に中国側の警務処処長の「于珍」と日本側の朝鮮総督府警務局長の「三矢宮松」との間で交わされました。そして、朝鮮の独立運動家を識別するための対策が準備されました。
詩子アナ:「識別」ですか。これはおだやかではありませんね。
歌樽先生:捕まえるための対策ですからね。
第14問:識別の基準として挙げられていないものは次の内どれでしょうか。
- 1) 万年筆の所持
- 2) 煙管(キセル)の所持
- 3) ハングルの判子の所持
- 4) 時計の所持
詩子アナ:いつも持っているとはいえないものもあるようですが。
歌樽先生:服装とか肌の艶とか、日焼けや手のひらの柔らかさとか総合的に判断したようですから、一つ二つなくても識別には差し支えなかったようですよ。
詩子アナ:当てずっぽうでやってみます。
第14問:答は、2) 煙管(キセル)の所持、です。1970年代に韓国で外国たばこを吸うと逮捕されると聞いたことがあります。だからタバコ関連のものは所持しないのではないかと思いました。
歌樽先生:当時は紙に刻みたばこを巻いて吸っていたようで、煙管は使われていなかったそうです。
詩子アナ:答はあっていても、理由が違っていましたね。残念!
詩子アナ:鴨緑江の鉄橋を渡るときに検問のようなものはなかったのですか。
歌樽先生:ありましたが、そこをうまくすり抜ける人もいたようです。
詩子アナ:どうやってすり抜けるのですか。
歌樽先生:ここで登場するのが「얼결에」ということでしょうね。
詩子アナ:えっ!「얼결에」は今回のキーとなるハングルでしたね、すっかり忘れていましたが、意志のないとっさの反応といった感じで捉えればいいのですか。
歌樽先生:なかなかいい理解だと思います。よしやるぞという積極性のある反応ではなく、受け身的な動きとしての反応と言っていいでしょう。
詩子アナ:少し褒められた感じがして、久しぶりに嬉しい気持ちです。でも、鴨緑江の鉄橋は簡単にひょいと越えるいった風に渡る訳にはいかないんじゃないんですか。
歌樽先生:長さも900m越えていますし、橋の上の歩道部分は幅が2.4mしかありませんし、検問所もありますし、さっき見たように独立運動をしているものはいないかとあちこちで見張っていますし、簡単に鉄橋を渡ることはできなかったでしょうね。
詩子アナ:「돌아다 보이는 무쇠다리」とはどのような気持ちと捉えればいいんですか。
歌樽先生: なにかしっくりこないようですね。
第15問:では、橋を前にした気持ちは次のどれに譬喩できるでしょうか。
- 1) 滑り台の前
- 2) 飛び込み台の前
- 3) 跳び箱の前
- 4) バンジージャンプ台の前
詩子アナ:慣れていなければ、どれもドキドキしますが、逮捕されるかもしれないという状況を考えると、これしかありません。
第15問:私の場合、4)バンジージャンプ台の前、です。
歌樽先生:泳げるようですね。
詩子アナ:水泳の選手ではありませんでしたが、遠泳などもしましたから。
歌樽先生:バンジージャンプはしたことがありますか。
詩子アナ:いえ、ありません。見たことはあります。
歌樽先生:跳ぶ前の気持ちを表すと、どんな言葉が浮かびますか。
詩子アナ:「えい、ままよ」という感じでしょうか。これでは自分の選択的行為の部分が含まれているようですから、素月が言いたかったこととはやや距離があるような気がします。
歌樽先生:実は「돌아다보이는 무쇠다리」と言う言い方が普通ではないのです。
詩子アナ:「돌아다보면 무쇠다리: 振り返れば鉄橋」という意味ではないのですか。
歌樽先生:意味はそうですが、「돌아다보면」だと自分の方からすすんで橋をみることになりますね。








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