ハングルの詩のある風景: 失題の秘密 第17回
詩子アナ:これでは確かに完全数を意識していたとしか考えられませんね。
歌樽先生:では、こんな問題を出しましょう。
第26問:これらの詩はいくつのパートに分けられているでしょうか。
1) 12 2)14 3)16 4)18
詩子アナ:「パート」というのは何ですか。
歌樽先生:第1番目の詩の「먼後日」は「님에게」という大きなタイトルの中に入っている10の詩の内の1つです。『진달래 꽃』という詩集の127の詩はこうしたいくつかの大きなタイトルに分けられているのですが、この大きなタイトルの数はいくつでしょうか。
詩子アナ:「パート」の数とは、この大きなタイトルの数なんですね。目次をみればすぐに分かるのですが。ええと、数えました。
第26問:3)の16、です。
歌樽先生:その理由は何でしょうか。仮にあればということなんですが。
詩子アナ:仮にでよければ…、「16」は「4×4=16」でも「2×8=16」でもあるのですが、「2×8」とすれば、「28」は完全数で、2月8日の「28宣言」にも通ずるということでしょうか。
歌樽先生:それぞれのパートに入っている詩の数は少ないものでは1つ、多いものでは19とずいぶんばらついているのですが、こうした分け方には素月なりの考えからなのでしょう。
詩子アナ:「이팔청춘(二八青春)」という言葉を聞いたことがありますが。
歌樽先生:かつては「二八」つまり16歳といえば立派な大人でしたからね。『春香伝』の成春香も李夢龍も「이팔청춘(二八青春)」でしたね。ちなみに素月は「三五」15で結婚しています。
詩子アナ:そうなんですか。詩集の『진달래꽃』を作るときには大変でしたね。数字についてもいろいろ考えて「失題」を7番目に持ってきたんですね。1から7までの数字の合計が28で、これは2月8日の独立宣言書に格別な思いがあったからでしょうね。その流れからもう一つの「失題」を32番目に置いて、自分の数以外の約数の合計が「31」にしたことから、3月1日の独立宣言書への思いも推察できますね。28とか31という数字をそのまま使うと独立運動家ではないかと疑われたり、怪しまれたりするので、約数と完全数という概念を使って表面的には分からないように配慮した、こんな風にも理解できるということのようですね。でも、一方で辻褄を合わせただけの解釈だと言われれば、そんな気もしてきますが、素月の気持ちはどうだったのでしょうか。
歌樽先生:Aでもあり、かつBでもあるという形式をとっているわけですから、少なくとも複数の解釈を拒否するというスタンスではなかったように思われます。
詩子アナ:時代が時代だっただけに大変な思いで詩作りをされていたんですね。でも、そうして詩を作っても、その意図が誰にも知られないままで終わる可能性だってある訳でしょう?
歌樽先生:その可能性はありますね。でも、その詩が残っている限り、いつか誰かがその詩の真意について語ってくれる日が来るに違いがない、こうした確信が詩を作る原動力にもなっていたのでしょうから。
詩子アナ:詩の本質に近づいたようでもあり、遠のいたようでもあるといった気持ちです。ところで、一つ気になっていたのですが、ずいぶん前に、ええと「제비:つばめ」の第1回で、すでに
동무들 보십시오 해가 집니다 みんなごらんよ 陽が沈む
해지고 오늘날은 가노랍나다 沈めば 今日とお別れさ
웃옷을 잽시빨리 입으십시오 何か羽織って さあ早く
우리도 산마루로 올라갑니다 僕らもお山に 登ろうよ
という訳詞が付けられていたのですが、この訳詞にはなにか秘密があるのですか。
歌樽先生:訳詞ですから、これに秘密があってもなくても原詩にはかかわりがないのですが…
詩子アナ:ということは、何か訳詞にも秘密があるということですね。
歌樽先生:そこまでいわれるとしかたがありません。では問題を出しましょう。
第27問:1行目の「みんなごらんよ 陽が沈む」の訳詩と最も関連の深いものは何でしょうか。
1) 東海 2)西山 3)南江 4)北天

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