[紙上中継] ハングルの詩のある風景: 제비 つばめ 第13回
歌樽先生:訳詩をしてほしいとは言っていないんです。
詩子アナ:ああ、やはり「燕雀(えんじゃく)安(いずく)んぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」ですね。そういえば、「忘れないうちになんとかまとめておいたほうがいい」とおっしゃっていて、訳詩をしなさいとはおっしゃっていないんですね。
歌樽先生:「つばめ」が「故国」の本歌取りであれば、これをもう一度訳すというのはあまり意味がありませんね。
詩子アナ:では、なにをまとめればいいんですか。
歌樽先生:それが分かればもう終わったようなものですが。
詩子アナ:もう一度、初めから見てみます。
歌樽先生:それがいいですね。上田敏が訳したもとの詩を探してみましょう。
詩子アナ:探しました。William Sharpさんが英語に訳詩したものを使ったようですね。
http://www.kohnokai.com/member/isoda_koh/isoda_koh_402.html
Every little bird loves its nest.
Our blue sky, our little country, are Paradise for us.
[故国 Théodore Aubanel]
小鳥でさへも巣は恋し、
まして青空、わが国よ、
うまれの里の波羅葦増雲。(パライソウ)
テオドル・オオバネル 詩
[上田敏訳「海潮音」より]
http://leonocusto.blog66.fc2.com/blog-entry-1507.html?sp
Every little bird loves its nest [transl. by William Sharp]
歌樽先生:パライソウの部分は英訳では Paradiseとなっていますね。
詩子アナ:オオバネルの「故国」の本文では「波羅葦増雲」(p241)となっていますが、
http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#140
その解説では「波羅葦増雲」ではなく「波羅韋増雲」(p243)となっています。
http://school.nijl.ac.jp/kindai/CKMR/CKMR-00030.html#141
歌樽先生:なるほど、するどいところを突いてきましたね。
詩子アナ:ここが、するどいということは、ここから何か始まるということでしょうか。
歌樽先生:自由に考えてもらって結構ですよ。
詩子アナ:でも、もうほとんど出尽くしていて、これから何かを新たにしようというのは至難の業のように思えますが。
歌樽先生:指南をするほうも、至難の業ですね。
詩子アナ:それはまた何かあるということのようですね。
歌樽先生:あるともないとも言えませんが、もしかしたらということで、昔のものを少し調べてみましょうか。
詩子アナ:どれくらい昔ですか。
歌樽先生:遥か昔です。じゃあ、久しぶりに4択の問題を出しましょう。
第17問: 編年体で書かれた古代朝鮮の歴史書は次の内どれでしょうか。
1)輿地圖書 2)三國史記 3)三國遺事 4)高麗圖經
詩子アナ:難しい字がありますね。こういうときには取って置きの技があります。
歌樽先生:では、その技を使ってもらいましょう。
詩子アナ:かしこまりました。
第17問:答は2)三國史記です。
歌樽先生:さすがはすごい技ですね。正解です。
詩子アナ:画数が一番少ないのを選びました。
歌樽先生:それでは、単なる当てものですね。では、もう一つ。
第18問: 三国史記で書かれている三国とは次の内どれでしょうか。
1)新羅・百済・渤海 2)新羅・百済・伽倻
3)新羅・百済・金海 4)新羅・百済・高句麗
詩子アナ:新羅と百済の2つは決定で、あとの一つは何かという問題のようですね。