紙上中継[LIVE] ハングルの詩のある風景:산유화 山有花 第16回
歌樽先生:では、原本をみてみましょう。
『진달래꽃』金廷湜 賣文社1939
詩子アナ:第1行目は6文字で、助詞の「이」はありませんね。ということは南山の詩碑の方が正しいんですね。
歌樽先生:助詞についてはそのうち誰かが気づくでしょう。では、問題です。
第31問:もし、助詞の「이」を入れていたとしたら、その表記はどうなっていたでしょうか。
詩子アナ:この写真のような書き方は不慣れでなのですが、第2行目が「꽃이 피네」の部分のようですから、
第31問:助詞の「이」が入っていれば「치」です。
歌樽先生:ハングルの表記法が確立する前ですので、いろいろと書き方を工夫していたようですね。「꽃이 피네」の部分は、まず初声が「ㅺ」、中声は「ㅗ」、パッチムは「ㅅ」で、これに「치픠네」が続いています。助詞の「이」がパッチム「ㅊ」と一緒になって、2行目、4行目、10行目、14行目、16行目では「치」となっていますね。
詩子アナ:9行目の「적은 새요」のままでは「少ない鳥」になっしまいますが。
歌樽先生:素月の住んでいた地方の方言では「작은:小さい 」を「적은」と言ってもおかしくないという話を定州に住んでいたおじいさんから聞いたことがあります。素月の詩には方言のまま書かれているものがいくつかあるようですね。
では、ここで、各連の頭音と脚音を五行の季節で表してみましょう。
詩子アナ:はい。「새여」は「새요」、「좋아」は「죠와」となっていますので、ここでは「요」「와」としてみました。
歌樽先生:なかなかすっきりしていますね。
詩子アナ:すっきりしているということは素月が韻を踏んでいるということでしょうか。
歌樽先生:もちろんそういうことになりますね。
第32問:「山有花」で韻を踏むことと最も関係の深いのは次のどれでしょうか。
- a) 改行の名手 b) 縮約の名手 c) 心象の名手 d) 五行の名手