2013-19 허공:虚空

第19回 ホコン:허공(虚空)

金素月の「초혼:招魂」という詩に「허공:虚空」という語が使われています。この「虚空」は広辞苑によると「何もない空間。そら。

仏典では、一切の事物を包容してその存在を妨げないことが特性とされる」と説明しています。

叫んでも 虚空に散る この悲しみ(NO126)

金素月の詩「초혼:招魂」の「虚空中에 헤어진 이름이어!」(虚空の中に散りし名よ!)を踏まえた句です。

「불러도 主人 없는 이름이어!」(呼べど主なき名よ!)、「부르다가 내가 죽을 이름이어!」(我果てるまで叫ぶ名よ!)と続きます。詩の中で詠われた愛する人を失った悲しみを再確認する句となっています。

虚空へと 手を伸ばしたら 掴まれた(NO103)

「虚空を掴[つか]む」という言葉があります。広辞苑では「手を上にのばして指を固く握りしめる。死ぬ間際の苦しみの様子などにいう」とあります。

この句では虚空を掴むはずの手が逆に「掴まれた」とあります。さぞ驚いたことでしょうが、救いの手だったのかもしれません。

あの人を 会えない時間は 心が虚空(NO121)

「あの人に」ではなく「あの人を」と言うのは最近の言い方なのでしょうか。あるいは「あの人を思う」という気持ちのままの状態で「会えない」に続くからでしょうか。

いずれにしても、思う人のいない心の空虚さを詠っています。青春の一ページを埋めるには必要な「虚空」のようです。

あなたとは 虚空の時間 過ごしたわ(NO129)

ここの「虚空の時間」は「時空」のことを言っているのでしょう。「ああ、無駄だった」と叫んでいるような気もしますが、それは後になってから分かったことです。

宇宙論では真空の中に暗黒物質が充満しているという考え方もあるようですから、一緒に過ごしている間は虚空の中にいろいろなものが詰まっていたのかもしれません。

こんな句も

虚空など 僕は使わん 言葉だぞ(NO109)

「虚空」という言葉を使わないことを言っているのではなく、自分の青春にはこういった言葉を使っている暇なんかないんだと主張している歌のようです。

前向きで、休むことなく、行くべき道をしっかり歩んでいる力強さが感じられる句です。

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