第18回 パンマダ:밤마다(夜ごと、夜ごとに) 金素月の「만리성:万里城」という詩は「밤마다:夜ごと」で始まります。 夜毎に積んでは崩し、崩しては積むことを繰り返しているというものです。「シジフォスの神話」を思い起こさせます。 下の句はそれを踏まえて作った句です。 밤마다また まだまだ積んで 完成はまだ(NO102) 「밤마다」の「마다[マダ]」と「また」という音の繰り返しで、繰り返し積んだり壊したりしている様子を表している句です。最後の「完成はまだ」の「まだ」がよく効いています。 若いうちは思いや努力が報われないと思うことも多いでしょうし、将来の見通しが立たないまま、何かをしていなければならないこともあるでしょう。 下の2つも「만리성:万里城」の内容を詠った句です。 月は知る 밤마다変わり できぬ城(NO103) 努力して 밤마다運ぶが 崩された(NO130) 君想う 밤마다全て 忘れられない(NO115) 忘れられない君を想う強い気持ちは若者の特権と言っていいかも知れません。「全て」というところに強さが際立っています。 うるさいぞ 밤마다の討論 眠れない(NO127) 若いうちでしかできない討論もあります。未来への希望を60歳、70歳という年を取ってから語るのはかなり難しいことです。 しかし、毎晩毎晩討論漬けでは疲れてしまいます。うるさいと思うこともあるでしょう。 自分が討論に参加しているときはあまりうるさいとは感じないものですが、隣で関心事でないことについてああでもないこうでもないという話を聞かされると「うるさいぞ」と思わずいいたいこともあります。 こんな句も お腹減り 밤마다うろうろ 台所(NO119) 夜食がダイエットには一番悪いとよく言われます。お腹が空くと冷蔵庫を開けてみたり、ラーメンか何か残ってないかと台所をうろうろすることがあります。 この句の「うろうろ」を「울어 울어」と掛けて解釈すると別のおもしろい味わいのある句となります。 夜食を食べ過ぎるらしい次の句もありますが、こちらはまだまだ余裕がありそうです。 밤마다 밤마다 横幅だけが 育ってく(NO121)
ハングルの詩・時代と文化
兼若博士が金素月(1902-34)の詩と時代・背景を楽しく案内します

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Posted in ハングル俳句
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