第16回 パラム:바람(風)
外出れば 四季折々の 바람이吹く(NO110)
風は季節の変化を 先取りしている節があります(第14回の初句を参照)。風は温度、湿気、強さ、方向、香りなどが時々刻々変わります。最近は黄沙や微細ゴミ(pm 2.5)、花粉なども運んできます。
今は暖房や冷房、空気清浄機などのある部屋にいると、季節感が分からなくなることもあります。この句のように四季折々の変化を知るにはやはり外に出るのが一番です。類句を一つ紹介します。
바람吹けば 変れる季節 感じけり(NO106)
夜一人 바람にさらされ 人恋し(NO129)
夜、独りで散歩にでも出かけたのでしょうか。来ぬ待ち人を待っていたのでしょうか。それはともかく、なにかと物騒な世の中ですので、こういう句を見ると心配になります。
この句は「바람にさらされ」たから「人恋し」というのではなく、風にさらされなくても「恋しい」思いは変わりないのだけれど、風に吹かれてその思いをより強くしたという内容のように思います。
바람立ちぬ いざ行かんとす この道を(NO103)
堀辰雄の『風立ちぬ』を思い出させます。この句では自分の進路を見据えて決意を新たにしています。自分に言い聞かせているようにも読めます。将来の目標に向かってしっかり歩んでほしいと思います。
以下のサイトに堀辰雄が引用して「風立ちぬ、いざ生きめやも」と訳した詩の全訳を見ることができます。ここでは、「風が起る!…生きてみなければならない!」と訳してあります。
http://rimbaud.kuniomonji.com/jp/etcetera/le_cimetiere_marin_jp.html
こんな句も
바람にのせ 思いもどうか 消し去って(NO119)
「どうか消し去って」ほしいと思うことはなかなか忘れられない記憶です。しかし、全く忘れてしまいことは無理のようです。
その無理なことを分かった上で、なお忘れたいという思いを起こさせるのが、今吹いている寒くて強い風なのでしょう。今年は太平洋側に低気圧が発達し、例年にない北風が身にしみます。
自分の方が飛んで行きたいという次の句も風が強いからでしょう。
遥か遠く 飛んで行きたい 바람と共に(NO114)

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